症例集

メタルタトゥーと歯肉の腫れ

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メタルタトゥーとはかぶせ物の金属や、その中の金属の土台が腐食し溶出して、歯肉に沈着したものです。
これ自体に問題はありませんが、前歯にできると審美的に問題となったり、また金属が溶出している証拠になりますので、歯科金属アレルギーを引き起こす可能性があります。


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歯肉が腫れたとのことで来院されました。
歯頸部に近い部分の歯肉に膿がたまっています。


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膿の出口(サイナストラクト)に#25のGPポイントを挿入してレントゲンを撮ってみると、少ししか入りませんでした。
通常、根尖病巣から膿が出てきていれば、GPポイントは歯根端まで進んでいきます。
そこで、腫れている部分をよく観察してみると、腫れている部分にメタルタトゥーがありました。
またGPポイントがメタルコアの先端近くで止まっていることを考え合わせて、もしかすると歯根上部に穴があいていているのではないかと推測しました。


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患者さんと相談して、かぶせ物とメタルコア(土台)を外して、中を調べましょうということになりました。
中に虫歯ができていて根管口上部は汚染されています。
また青い⇒のところですが、ちょうど腫れた部分に穴があいているのが分かります。


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根管上部に汚染があり、細菌が根管内に侵入していることが予想されるので、根管治療も必要となります。
虫歯の部分をきれいに除去し、隔壁を作り、根管治療を開始しました。
初日は水酸化カルシウムを貼薬して、仮封して終了しました。


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1週間後に来院された時には、腫れもサイナストラクト(膿の出口)もすっかり消えていました(メタルタトゥーは消えません)。
結局、今回歯肉が腫れたのは、根管上部に穿孔があったこと、またそこから汚染物やメタルコアも溶け出していたことが原因だったことが分かりました。


深い虫歯とアマルガム

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咬合面に点状の虫歯があります。
一見、小さな初期虫歯のように見えます。


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ところが少し削ってみると、虫歯の部分が予想以上に大きく、中で広がっていました。


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マイクロスコープ下で、カリエスチェックで染め出しながら、エキスカベータやスチールラウンドバーなどの器具を用いて感染象牙質を丁寧に除去していきます。
染め出しては除去、染め出しては除去を何回も繰り返します。
もし、神経の部分が露出(露髄)してもすぐに対応できるようにスタッフに準備させておきます。


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かなり深い虫歯だったので、セラカルLCという神経を保護する薬を入れて、その上にコンポジットレジンを仮充填しました。
しばらく様子を見て、問題なければ、仮充填を除去して最終の修復処置に入ります。


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銀歯のやりかえ御希望の患者さんです。
少し適合が悪いかなというくらいの金銀パラジウム合金でした。


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銀歯を外すと、中から「歯科用アマルガム」が出てきました。
虫歯を取ったあとに、覆髄材としてアマルガムを充填し、その上に金銀パラジウム合金のつめ物を詰めている歯をたまに見かけます。


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アマルガムも腐食し、その周囲に虫歯ができていたので、う蝕検知液(カリエスディテクター)で染め出しながら、マイクロスコープ下で感染象牙質を除去していきます。
虫歯の部分が深かったので、神経を保護する薬を置いて、その上にコンポジットレジンを充填し、オールセラミックスを作製しました。


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歯科用アマルガムを現在、実際に治療で使っておられる先生はほとんどいないと思いますが、30歳以上くらいの患者さんのお口の中には、今でもアマルガムで修復された歯を頻繁に見かけます。
歯科用アマルガムの為害性については、多くの歯科医院さんがホームページに記載されているので、ぜひ検索してみて下さい。


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これは金銀パラジウム合金です。
アマルガムではありませんが、これも歯科金属アレルギーの原因となることがあり、また虫歯も再発しやすいので、私はあまりお勧めしません。


白板症~前癌病変

「口腔がん」はお口の中にできるがんの総称です。
舌、頬粘膜、歯肉などあらゆるところに発生する可能性があります。
なかでも多いのが舌がんで、口腔がんの約60%を占めます。

口腔がんは初期には痛みがないので、早期発見が難しく、また単に「口内炎」と診断されて見落とされることもあります。
そのため、病院に行った時にはすでに「ステージⅣ」と診断されることも多いです。

一般的な癌の原因は、食事、生活習慣(タバコ・アルコール)、ウイルスですが、口腔がんでは「慢性的な刺激」も原因になります。
刺激が繰り返し与えられると、粘膜の細胞に異常が起き、口内炎から前癌病変、そして口腔がんになります。

以前、60歳代の男性が患者さんとして来られた時に、虫歯が大きく、尖っている歯がありました。
きちんと虫歯の治療をしないと、舌を刺激して癌になりますよ、とお話ししましたが、その男性は「痛くないからいい」と治療を拒否されました。
それから5年後くらいに、その男性が舌癌で亡くなったことを他の患者さんから聞きました。

口内炎は誰にでもでき、珍しくありませんが、通常2週間もすれば治ります。
2週間以上治らない口内炎は注意が必要です。
また同じ部位に繰り返し口内炎が起こると、そこは絶えず細胞の増殖と修復が行われており、その過程で細胞に「エラー」が起こり癌化することもありますので、口内炎が頻繁にできたり、同じ部位にできる方は専門家にまめに診てもらうことが必要です。

かと言って、あまり神経質になりすぎるのも精神的に良くないです。
当医院の患者さんにも2~3人おられますが、一日中、舌を鏡で観察し、一日中、舌を指で触っている患者さんがいます。
そして頻繁に「癌になってないか診て欲しい」と来院されます。
心はいったん病んでしまうと、治すのも大変ですので、信頼できる口腔外科の先生を見つけ、何か異常があった時にだけ診察してもらうようにした方がいいと思います。

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当医院の患者さんです。歯肉に白色の病変が認められました。
九州大学病院の口腔外科に紹介状を書き、診察してもらいました。
診断名は「歯肉の白板症」でした。
白板症は前癌病変の1つで、3~5%が癌化します。
口腔外科で「とりあえず様子をみましょう」ということになり、定期的に九大で診てもらうことになりました。


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約1年後、少し小さくなっています。
九大での検診も欠かさず受けられています。


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発見から2年後、すっかり白板症は無くなっています。
この症例は運よく、癌化しなかったケースですが、もし癌化するようなケースになったとしても、定期的に専門医の先生に診てもらっていれば切除する範囲も小さくなります。
気になるところがあれば、かかりつけの歯科医院さんに、病院の口腔外科を紹介してもらうか、あるいは口腔外科に長年勤務されていて開業された先生に診てもらうと安心です。


大臼歯の再根管治療

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「歯肉が腫れた」とのことで来院されました。
左下6番にオールセラミックスのかぶせ物が入っており、頬側遠心寄りにサイナストラクト(膿の出口)を認めました。
レントゲンを撮ると、遠心根の周りの骨が吸収されています。

オールセラミックスをよく見ると、対合歯(左上6番)の金属が付着しています。(拭けば取れる)。
この段階で腫れた原因として考えられるのは、
①根管の感染。
②咬合性外傷~咬み合わせが高いと、歯周組織が傷つき、歯根周囲の骨が溶けてしまう。⇒しかし咬合をチェックしても高い感じはありませんでした。
③遠心根の歯根破折、あるいは「ひび」が入っている。⇒歯根にひびや破折があるとそれに相当する部位の骨が溶けて無くなってしまいます。ひびや破折があれば抜歯になります。

対合歯の金パラのかぶせ物も古くなっており、境目に虫歯が見えているので、左下6番の根管治療とその対合歯(左上6番)のやりかえをすることにしました。
もし左下6番の遠心根にひびや歯根破折を認めたら、歯を半分にカットして、遠心根のみ抜歯し、近心根は根管治療をして保存し、ブリッジにする方法もある事を説明しました。


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サイナストラクトに#25のGPポイントを挿入し、レントゲンを撮ると、遠心根の根尖付近にまで入っていきました。
ここが腫れた原因です。


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オールセラミックスを外します。
銀歯と違い、化学的に接着しているので、支台歯を痛めないように、周りから少しずつ削って慎重に外していきます。
セラミックスを外して、今度は中のファイバーコアを除去します。この時もできるだけ健全歯質を残すように気を付けながら外していきます。
マイクロスコープで確認すると、近心根の間にイスムスがあり(青い⇒)ここに汚物がたまっていました。
肉眼のみで根管治療をすると、見落としやすい場所です。


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この時点で、マイクロスコープで中を精査して、歯根破折やひびはありませんでした。
ラバーダムのクランプをかけるためと仮封材の厚みを確保するために、隔壁を作製します。


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根充材を除去し、ファイルで根管内を探索します。
近心根は石灰化が起こっていて、根尖までファイルが到達しませんでした。無理をせずに開くところまで拡大・清掃します。
遠心根は根尖まで到達しました。原因が遠心根にあったので、歯内療法で治りそうです。
この日は水酸化カルシウムを貼薬して、仮封をして終了しました。


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1週間後に来院された時には、サイナストラクトは消失していました。
ニッケルチタンロータリーファイルで拡大して、根管充填まで行いました。
ファイバーコアで築造し、プロビジョナルレストレーション(精密な仮歯)を作って、3ヶ月ほど様子をみます。
その間に、対合歯の金パラのやりかえの治療を行いました。
左下6番は、サイナストラクトや症状の再発がなく、またレントゲンで遠心根の周囲に骨が再生する兆候があれば、最終の修復物を作る予定です。


湾曲根管

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この歯は歯周病が進行して、グラグラになって抜けた患者さんの歯です。
奥歯はこの歯のように、多かれ少なかれ歯根が曲がっています。


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別の患者さんの右下7番の歯です。
ブリッジの支台歯にするためと、また咬合の関係から、やむをえず神経を取ることになりました。
術前のレントゲンを見ると、根管が細く、また湾曲していることが予想できます。


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細い#10のKファイルを入れてみると、近心根は曲がりながらも何とか根尖まで到達します。


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上の写真では分かりづらいので、患者さんの許可を得て、一瞬ラバーダムを外して、撮影させてもらいました。
近心根の根管はS字状に曲がっていることが分かります。
こんなに細く、曲がっている根管の拡大・清掃はとても難しいです。


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何とか#15まで手用ファイルで拡大しました。
このような、細くて曲がった根管を無理に拡大しようとすると、オリジナルの根管を逸脱して変な方向に進んでしまったり、根管壁に穴をあけてしまったり、ファイルを折れ込ませてしまうこともあります。
一度、根管や根尖を破壊してしまうとその歯の予後は非常に悪いものとなってしまいます。
私は#15まで拡大したら、ニッケルチタンロータリーファイルを使って拡大します。


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何とか無事に根管充填できました。

奥歯の根管治療はかなり難しく、100%の治療成績を出すことは根管治療専門医の先生でもなかなか困難です。
特に一度根管治療されている歯の再根管治療になると、根尖が破壊されていたり、根管壁の変な方向に穴があいていたりすることも多々見られるので、さらに治療の成功率は下がります。
なので、神経を取ることにならないように普段のケアを頑張ったり、歯医者さんをまめに受診して虫歯を小さいうちに治す必要があります。
私も時間を作っては、研修医のように抜去歯牙を使って、拡大や根管充填(CWCT法など)を50歳を過ぎた今でも練習していますが、奥歯の難しさを毎回痛感しています。


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どうしても細く、湾曲している根管では、ファイルが破折してしまうことがあります。
そのような時、歯科医師の先生方は慌ててしまい、患者さんにどう説明しようか(黙っていようか)悩んでしまうこともあると思います。
私は術前のレントゲンで、細くて湾曲が強そうだなと感じたら、この写真のような説明用のプリントを前もって患者さんにお見せして「この歯の根管はかなり細くて湾曲しているから、根管を拡げる過程でファイルが破折して、折れ込んでしまうかもしれません。けれど、ファイルが清潔に滅菌されたものならば、特に将来問題となることもなく、歯の中に残したままでも大丈夫ですよ。」と説明しておいて、もし本当に折れてしまったら、患者さんに「やっぱり折れましたね、けどこの前説明したように清潔な器具なので大丈夫ですよ。」とお話しすると患者さんも安心されます(滅多に折れませんが)。

時々、「別の歯医者さんで、折れ込んだファイルをマイクロスコープで取って欲しい」という患者さんが来院されますが、根管の湾曲している部分より先のファイルは、マイクロがあっても除去は無理です(どうしても取る必要があれば、外科的歯内療法になります)。
湾曲している手前でマイクロでも確認できれば、割と簡単に超音波を使って除去することができます。


前歯をセレックでやりかえ

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2010年に上顎の1番(中切歯)に2本セレックを入れた患者さんです。
今回はその隣の左上2番(側切歯)の保険治療で入れたかぶせ物を、セレックでやりかえたいとのことで来院されました。
色が黄色く変色し、歯肉の境目がブラックマージンになっています。


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根管も歯肉も状態は良かったので、即日修復で行うことにしました。
まず古くなった硬質レジン前装冠を外しました。
支台歯にメタルコア(金属の土台)が入っており、このままオールセラミックスをかぶせると黒く透けて見えるので、ファイバーコアに置き換えることにしました。
マイクロスコープを使って、丁寧に超音波を使いながらメタルコアを除去し、できるだけ歯質(フェルール)を残すようにします。
そしてファイバーコアを直接法で作製しました。


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マイクロスコープ下で支台歯形成を行います。
3Dカメラで光学印象(デジタルインプレッション)を行い、パソコン上でオールセラミックスを作製します。


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今回は中切歯と同じ「Ips Empress CAD Multi A2」というセラミックスブロックを使用しました。


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設計が終わったら、ミリングします。
約10分で終了し、その後、研磨します。


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透過性のあるセラミックスブロックなので、セメントの色にも気を配り、口腔内にセットしました。


ホワイトニング+セレックでベニア作製

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右上1番、神経を取った歯の色が茶色くて、左上1番の色と違うのが気になるとのことで来院されました。
他の歯もできれば、もう少し白くしたいとの御希望でしたので、まず前歯・小臼歯にオフィスホワイトニングを行うことにしました。
しかし右上1番は失活歯で、内部から変色しており、コンポジットレジンが広い範囲に充填されているので、ホワイトニングの効果は期待できません。
そのためホワイトニング後に、右上1番はセラミックスで修復することにしました。


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オフィスホワイトニングが終了しました。
予想通り、周りの歯は白くなりましたが、右上1番だけが茶色のままです。


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右上1番は今回ポーセレンラミネートベニアで修復することにしました。
歯の唇側面を少しだけ(0.5~0.7ミリくらい)削り、薄いセラミックスを作って接着します。
この方法の利点は、表面を少し削るだけなので、神経がある歯でも神経を温存できること、また口蓋側(裏側)を削らないので、咬み合わせが変化しないことです。
欠点は表面に接着しているだけなので、かぶせ物にくらべるとたまに脱離することです。

今回「セラミックスのかぶせ物」ではなく、「表面にセラミックスを接着させるベニア」を選んだ理由は、口蓋側(裏側)の歯質がたくさん残っていたからです。
もちろん神経を取るために削ってはありましたが、土台を入れて、かぶせ物を作るほどでもないと判断しました。
もし口蓋側の歯質が少なければ、土台(ファイバーコア)を入れて、かぶせ物を作ります。

このラミネートベニアはセレックで作製し、即日セットしました。
歯型を採って、ベニアを技工所に作製依頼すると、1週間以上期間が必要で、その間、仮歯で過ごさなければならないこと(ベニアの仮歯は難しい)、またその間に、歯面が汚染されますので、接着効果が落ちてしまいます。
削ってすぐに接着すると接着効果が高まります。


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術後、5年後の状態です。
ホワイトニングの後戻りが少し見られますが、ラミネートベニア周囲の歯肉の状態も良好で、周りの歯と比べてもさほど違いはありません。


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この症例を書いた9月2日は開院20年目の記念日でした。
患者様がわざわざお花を届けに来てくださいました(スタッフでさえ覚えていなかったのに・・・)。
開業して20年間、本当に辛いことの方が多かったのですが、患者様から、お祝いと感謝のお言葉とお花をいただき本当に救われました。
T様、ありがとうございました!!


セルフケア

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歯磨きをする際には、歯ブラシだけでは不十分で、フロス(糸ようじ)や歯間ブラシ、タフトブラシ、またブリッジの場合は、ダミーの歯の下を磨くスーパーフロスなどを使用する必要があります。


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特にブリッジや連結冠はプラークや食渣が溜まりやすいので、歯間ブラシを通したり、


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またブリッジの場合は、スーパーフロスでダミー(歯が無い部分の作り物の歯)の下をお掃除します。

患者さんがお家で、セルフケアをしやすいような修復物を私達歯科医師は入れてあげる必要があります。


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「歯間ブラシやフロスが通らないので、相談したい」とのことで来院されました。
約3~6ヶ月前に10数本のセラミックス(おそらくジルコニア)を入れたそうです。
「かなり費用がかかったでしょう?」とお聞きしたところ、「1本3万円で安いんですよ。」と言われました。
1本3万円のジルコニアオールセラミックス??(当医院の約4分の1)、良心的な歯医者さんも世の中には居るもんだなぁと思いながら、お口の中を診させていただきました。

特に患者さんが気にされている左上には、セラミックスの連結冠が入っており、当然フロスは通せませんし、歯間ブラシは途中でつっかえて通りません。 またマージン部分にセメントが大量に存在し、虫歯もすでにできていました。 歯肉の炎症も強く、歯周ポケットを触ると大量に出血してきました。


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前医の先生が一生懸命治療された跡なので、やんわりとした表現で、「もっと御自分でフロスや歯間ブラシを通しやすいかぶせ物を作り直しませんか?」とお話をし、了解をいただきました。

まず一番悩んでおられる左上のレントゲンを撮りました。
残念なことに、左上の4番はすでに歯根が垂直破折しており、抜歯になること、そしてブリッジになることを説明しました。


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左上のジルコニア連結冠を外した写真です。
4番はレントゲン通り、真っ二つに割れていました。
またセメントが歯肉の上に、はみ出したりしている部分もありました。

抜歯をして、虫歯を除去し、プロビジョナルレストレーション(精密な仮歯)を作製し、この段階で歯間ブラシの通し方、スーパーフロスの使い方などを指導していきます。
患者さんから、「こんな風にお掃除できるんですね!今まで全く通らなかったのでびっくりしました。」とおっしゃっていただきました。
抜歯した部位の歯肉が落ち着いたら、最終の修復物(今回はジルコニアのブリッジ)を作っていきます。


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ブリッジや連結冠だけではなく、単冠や御自分の歯でも、フロスや歯間ブラシを使って清掃します。
よく歯間ブラシを使うと、歯の隙間が広がってしまうから使いたくないと言われる患者さんがいますが、それは「歯肉が引き締まって、いい状態になった」と考えるべきで、歯周病があり、歯周ポケットが深い(歯肉がブヨブヨの)状態の方が良くないことは言うまでもありません。
適切なサイズの歯間ブラシを2~3種類用意し、部位により使い分けます(歯科衛生士さんが教えてくれます)。
個人的には30歳を過ぎたら、歯間ブラシとフロスは毎回使用した方がいいと考えます。


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別の患者さんです。
左上6番と7番の間にフロスを通すと切れてしまうので、診て欲しいとのことでした。
7番の近心にコンポジットレジンが充填されていますが、劣化してガタガタになっているのが原因と考えられます。


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コンポジットレジンを除去すると、6番の遠心と7番の近心、2本とも虫歯ができていました。
フロスで歯間部のお掃除が十分にできなかったのが原因と思われます。
その部分のコンポジットレジンを充填し直しして、フロスがスムーズに通るようにしました。


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この患者さんの同じ左上5番には、保険の金属のつめ物が入っていますが、隣りの6番との接触の仕方がきれいなカーブを描いておらず、蛇行したような形になっていました。
患者さんにお聞きすると、ここもフロスが切れるとのことでした。
金属を除去すると、やはり深い虫歯ができていました。
この患者さんは、とても熱心に口腔のケアをされる患者さんです。そういった患者さんでさえ、つめ物の形態などが良くないと、お掃除が十分にできず虫歯ができてしまいます。
新しいつめ物を入れて、フロスを通しやすい状態にしました。
歯科医者=破壊者とならないように、患者さんがセルフケアをしやすい修復物を入れてあげなければならないと痛感した(肝に銘じた)症例です。


歯髄壊死

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「右上の歯肉が腫れて、膿が出てきます。痛みはありませんが、少し違和感があります。」とのことで来院されました。
右上4番あたりの歯肉にサイナストラクトが認められました。


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その隣の3番、5番そして4番の順で検査を行いました。
電気歯髄診は、4番のみ(-)、3番と5番は(正常範囲)。
冷温熱試験は、4番のみ(-)、3番と5番は(正常範囲)。
根尖部圧痛は、4番のみ(+)、3番と5番は(-)でした。


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次にレントゲンを撮ってみました。
4番の根尖に透過像が認められました。
また歯髄に達するくらいの深さまで、コンポジットレジンが充填されていました。


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今度はサイナストラクトに#25のGPポイントを挿入してレントゲンを撮りました。
ポイントは4番の根尖部の透過像に到達しました。
以上の結果から、右上4番の歯髄壊死と診断いたしました。


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まず麻酔をします。根管治療の際には私は必ず麻酔をするようにしています。
理由は歯髄壊死の場合、神経は死んでいて痛みも何も感じないと思われがちですが、わずかに歯髄の知覚が残っている場合があること、またラバーダムのクランプをかけても痛くないようにするためです。

コンポジットレジンを除去していきます。充填物の下に大きな虫歯ができていました。
う蝕検知液を用いながら、感染象牙質を残さないように丁寧にマイクロスコープ下で虫歯を除去していきます。
遠心のところは、虫歯が歯肉縁下まで進行していたので、歯質が歯肉縁上に1ミリ出るまで、炭酸ガスレーザーを照射します(外科処置をするほどではありませんでした)。


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隔壁を作って、ラバーダムのクランプを選択します。
これで根管治療の下準備ができました。


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電気的根管長測定器を用いて作業長を決定します。
少し根管の拡大・清掃をして、初日は終了しました。
念のため、消炎鎮痛剤を投薬しました。


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1週間後に来られた時には、サイナストラクトは小さくなっていて、膿が出る穴も消えかかっていたので、根管の拡大・洗浄をしっかり行い根管充填まで行いました。
根充後、ラバーダムをしたまま、ブラスト処理をし、余剰シーラーをしっかり除去し(マイクロでしっかり確認して)、支台築造まで行いました。
そしてプロビジョナルレストレーション(精密な仮歯)を作って、3ヶ月間様子を見ます。


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3ヶ月後の写真とレントゲンです。
サイナストラクトはほぼ消失しており、膿が出てくる穴もふさがっていますが、若干、痕跡のようなものが認められます。
レントゲンでは根尖病巣は縮小していますが、まだ黒い透過像を認めます。

ちなみにこの黒い透過像(根尖病巣)が消失するのに、20年くらいかかって消えるケースもあるそうなので、無症状で、悪い所見も無いのに、「黒い影があるからすぐに根管治療しましょう。」は早合点すぎます。もしかしたら、数年前に他医院で根管治療をして治りかけている過程かもしれないので、患者さんにその歯の治療歴をよく聞くことが大切です。

話しを戻します。この右上4番は、自覚症状も無く、おおむね治癒傾向にあると判断しましたが、今後の状態次第では、外科的歯内療法(歯根端切除術)が必要となるかもしれません。
次回また3ヶ月後に予後評価を行います。


PMTC

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歯科医院で歯科衛生士さんにクリーニングをしてもらうことをPMTCといいます。
当医院では、毎月約200人程の患者さんが自主的に1~3ヶ月毎のクリーニングに来られています。
毎日の歯磨きで、磨き残しをゼロにするのはなかなか難しいため、歯科医院でチェックとクリーニングを行います。
毎回、歯垢染色液で染め出しをして、磨き残しの確認、苦手な部位の磨き方の指導などを行っています。
開院直後から20年間、毎月欠かさずに来院されている患者さんもおられます。

当医院は4台の診療台があり、2台が衛生士用の診療台です。
これは最近の土曜日(午前のみ診療)の予約表ですが、4列に分けてあり、右側2列が全て衛生士の患者さん(PMTCの患者さん)になります。
左側2列が私の治療の患者さんです(土曜日は平日より少し予約が詰まり気味になってしまいます)。


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現在85歳、男性。当医院に来られて3年。
3ヶ月毎にクリーニングに来られています。
磨き残しが毎回多いですが、85歳でこれは立派です。


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現在73歳、男性。当医院に来られて12年。
毎月クリーニングに欠かさず来られています。
レントゲンだけ見ると、若い成人の方のレントゲンにしか見えません。


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現在45歳、女性。当医院に来られて12年。
インプラントも「インプラント周囲炎」を起こすので、インプラントを長持ちさせるためにPMTCは重要です。


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現在86歳、男性。当医院に来られて8年。
奥歯を失くされている部位もありますが、比較的良好です。


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現在34歳、女性。他医院で矯正治療終了後、6年前から当医院で3ヶ月毎のメンテナンスを受けられています。
全く虫歯もなく、私から見ても羨ましいかぎりです。

高齢になっても御自分の歯がしっかりと残っている方は、何らかの努力を毎日積み重ねておられます。
それは毎回のブラッシングにしっかりと時間をかけ、歯ブラシだけではなく、御自分の歯に合ったサイズの歯間ブラシを数種類用意して使い分けたり、フロスやタフトブラシも使ったりされています。そういった指導も衛生士が行います。
またそれだけではなく、1~3ヶ月毎に歯科医院にクリーニング(PMTC)を受けに来られています。
そういった努力を積み重ねた結果、高齢になっても御自分の歯がたくさん残っていて、また若い方は虫歯も歯周病も無い状態を維持できるのです。
新聞広告などで、「この歯磨き粉を使えば、みるみるうちに歯周病が治った」などと書いてありますが、そんな事を信じている方はまずおられないでしょう。困りに困って、藁にもすがりたい気持ちで購入されているのだと思います。
しかし一度勇気を出して、歯科医院を受診してみて下さい。
衛生士さんが在籍していて、予防歯科のシステムが確立されている歯科医院はホームページを見ればおおよそ分かりますので、そういう歯科医院を探されるといいと思います。


遊離端(延長)ブリッジ

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これは橋(ブリッジ)の絵です。
上の橋と、下の橋、どちらの方が強度があるか、皆さんすぐにお分かりになると思います。


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患者さんの前歯のブリッジ症例です。
歯根破折のため、右上1番が抜歯になりました。

ここで患者さんとブリッジの設計について話し合いました。
患者さんの御希望は「青い⇒の2本はすでにかぶせ物が入っており、古くなっているので、外す事に抵抗は無い。そしてその2本だけを支えにしたブリッジにして欲しい。」との事でした。
イラストでいうと、下の橋と同じ状態になります。
私は「赤い⇒の歯(右上2番)も支えの歯として使った方が丈夫なブリッジができますよ。」と説明しましたが、患者さんは「自分の歯を削るのは嫌です。」と言われました。
歯を削るのは大きなデメリットですが、この赤い⇒の歯を支台歯に加えることで、より安定したブリッジになります(イラストの上の橋)。


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結局患者さんに説得され、写真のようなジルコニアオールセラミックスで、遊離端(延長)ブリッジを作製しました。


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たとえ咬み合わせの調整をしっかり行っても、食べ物には「厚み」があります。
食事をするたびに、赤色の⇒の方向に力が加わり、黄色の★印の歯を中心にして、回転運動の力が発生します。
つまり左上2番の歯には、青色の⇒の方向に咀嚼の度に力が加わります。
その結果、左上2番の歯は1週間で歯冠破折を起こしました(2番目の写真の赤い⇒の歯)。
仮り着けだったので、歯冠破折程度で済みましたが、硬いセメントで本セットしていたら、歯根破折し、抜歯になっていたかもしれません。


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患者さんにもようやく納得していただき、歯冠破折した歯には新しいファイバーコアを造り、右上2番も支台歯に含めた新しいブリッジを作製しました。

歯を長持ちさせるためには、いかに細菌の侵入を防ぎ、咬合圧を分散させ、歯牙を過大な咬合力から守るかに尽きると思います。
歯周病も虫歯も根尖病巣も全て細菌が関与しています。
歯ぎしりやくいしばりをしている方は歯に過剰な力がかかり、歯を痛めやすいです。
また上顎の臼歯部を抜歯したまま放置していると、上の前歯が下の前歯に突き上げられ、破壊されてしまいます。咬合力の分散ができないからです。

この症例は前歯の遊離端(延長)ブリッジが上手くいかなかった症例です。
しかし、咬み合わせや顎の動き方、前歯の歯軸の角度などは人それぞれなので、遊離端ブリッジでも問題無い方もおられると思います。


私がインプラントをやめた理由

■写真1

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最初にお断りしておきますが、私はインプラント治療は素晴らしい治療法だと思っています。
1999年に開業して、すぐにインプラントを始め、2013年にインプラント治療を止めるまで、毎週のようにインプラント手術をこなしていました。
研修会にもまめに参加し、あまり派手な手術はできませんでしたが、人工骨や自家骨を使って、GBRやソケットリフト、抜歯即時埋入インプラントくらいはやっていました。
1000本まではいきませんが、それに近い本数を埋入しました。難しい症例は避けていたので、失敗症例もほとんどありません。


■写真2

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当時はCT撮影装置を持っていませんでしたので、インプラントをする患者さんに、わざわざ九州中央病院までCTを撮りに行っていただいていました。
九州中央病院に依頼してよかったのは、CT画像とともに、口腔外科医の先生のレポートが添えられてくることでした。
「ここは下顎管に近いから気を付けて。」とか「ここは骨が薄いからインプラントの直径は3.25ミりにして。」などです。
おかげで、私のようなGP(一般歯科医)でも安心してインプラント手術を行うことができました。


■写真3

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このようにインプラント手術を行ってきたわけですが、ある時このままインプラント手術をやり続けていいのだろうか?と考えるきっかけがありました。
それは「ある歯科医師の先生の突然の死」でした。
インプラント治療は数ヶ月かかることもザラですので、その医院のインプラント治療中の患者さんが困った状況になっていました。
また治療だけではなく、治療費も前払いしていて、お金は戻ってくるのだろうか?心配になりますよね?

個人病院でインプラント治療を受ける時は、こういうことが起こる可能性があることを考えておいて下さい。
もし代診の先生がいてもインプラント治療はできるのか?跡継ぎの先生(お子さん)はいるのか?
もし医院を居抜きで買い取ってくれる先生がいても、前の先生が入れたインプラントのことまでは責任を取ってくれないでしょう。

そしてもし無事にインプラント治療が終了しても、10年、20年先までその院長先生に診ていただけるのか?(院長先生の御年齢は?)
インプラントは一旦、顎の骨の中に入れたら、骨と結合するので、簡単に取り外しができません。つめ物やかぶせ物を入れるのとは訳が違うのです。
その医院が無くなったら、カルテも無くなってしまいます。どういう種類のインプラントをどういう術式で埋入したのか、上部構造は何を、どういう方法で作ったのか分からなくなってしまいます。

そういう医院を2,3軒見て、私はもうインプラントを打つのは止めようと思いました。
そして、残りの歯科医師人生は、今まで打ってきたインプラントのメンテナンスをしっかりやっていくことにしようと決めました。

私には子供がいますが、歯科医師にはなれません。私の代でこの医院は終了です。
死ぬ瀬戸際まで、インプラントを打てば、多くの患者さんに迷惑がかかってしまう、無責任な事はできない、そう判断したのでインプラントをするのを止めました。
もちろん収入はかなり減りましたが、インプラントの勉強に充てていた時間を、根管治療やセレックなどの勉強時間に充てることができるので、歯科医師としての時間も有意義なものとなりました。

現在は、当医院で、もしインプラントをしたいという患者さんがいたら、九州中央病院の口腔外科に紹介して手術してもらっています。
公立病院なので、たとえ担当医の先生が退職されても、病院が無くなったり、カルテが無くなったりすることはないと思うからです。


根管治療終了後、セレック修復

■写真1

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右上の4番が痛むとのことで来院されました。
「歯肉から白いものが出てきます」とのことで、確かにサイナストラクトがあり、そこから少量の膿が出ていました。
サイナストラクトが小さすぎて、GPポイントは挿入できませんでした。


■写真2

レントゲンでははっきりとした病変が見当たらないので、「さてどうしようか?」と考えていましたが、患者さんから、つめ物を外して中を調べて欲しいと御希望がありましたので、外して中を精査することにしました。


■写真3

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CRインレーを外したところ、封鎖性があまり良くなかったようで、中に虫歯ができていました。
根管治療をした歯は、しっかりとした材質で、築造→修復を行い、確実に封鎖し、根管口上部からの細菌感染(コロナルリーケージ)を防ぐ必要があります。
無菌的に根管治療をする事も大切ですし、きちんとしたかぶせ物を入れて細菌が侵入しないようにすることも同じくらい大切です。


■写真4

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虫歯を丁寧に除去し、隔壁を作ります。
隔壁を作ることで、ラバーダムのクランプの装着が容易になり、また仮封材の厚みを確保でき、治療中に仮封材が取れにくくなります(治療中の感染を防ぐ)。
ラバーダムをかけ消毒をし、根管治療を開始します。


■写真5

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ちなみにこれは別の患者さんの歯ですが、「何ヶ月間も、根の治療をしていますが、痛みが取れずに困っています」といって来院された患者さんの歯です。
仮封材も取れて、お薬をつけた綿栓が露出しています。また虫歯の部分もたくさん残っていて、根管内がかなり汚染された状態です。
治療の最初の段階で、虫歯をきれいに除去し、隔壁を作って、根管の拡大・清掃を行う必要があります。
ちなみに隣りの歯は虫歯が大きく抜歯になります。


■写真6

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元の患者さんのお話しに戻ります。
マイクロスコープ下で、根管内を探索しましたが、「根の破折やひび」を疑うような所見はありませんでした。
前医の先生の根充材を除去し、ファイルを入れて根管長を測定します。
X線の入射角を変えて、2枚撮影します。


■写真7

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1日目は水酸化カルシウムを貼薬して、水硬性の仮封材で仮封して終了です。
仮封材の厚みは必ず4ミリ以上になるようにします。
最近は減りましたが、綿栓にFCをたっぷりつけ、ストッピングというゴムのようなもので仮封されて、「お薬のニオイがする」と言って来院される方も以前は多くおられました。
ストッピングはそれくらい封鎖性が悪いので、避けた方がいいと思います。


■写真8

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1週間後に来られた時には痛みも取れ、サイナストラクトも消えていたので、根充し、根管治療を終了しました。
そしてすぐにラバーダムをかけたまま、余剰シーラーをきれいに除去し、ブラスト処理を行い、ファイバーコアで築造します(細菌が侵入する機会を減らすため)。

ここで、この日は終了してもいいのですが、この患者さんは自由診療の患者さんで、予約時間を長めに確保していたので、一気にセレック作製まで行うことにしました。
また形成したその日に、セラミックスを接着させることで、接着効果を最大限にすることができます。
(セレックなどのCAD/CAMシステムが無い医院では、形成して、歯型を採って1週間後くらいに、技工所からオールセラミックスが出来上がってきますが、その間、仮歯を入れてるとはいえ、厳密には日々、支台歯は汚染していくので、形成したその日のうちにオールセラミックスを接着した方が、接着効果を最大限にすることができます。
また仮歯の状態で生活するという患者さんの負担も減りますし、前歯が仮歯では困る職業の方にも喜ばれます)。


■写真9

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マイクロスコープ下で、支台歯を形成します。
セレックの形成ラインは基本的に歯肉縁上にします。縁上だとブラッシングもしやすく、歯周ポケットの中に修復物を入れすぎると、歯周組織にダメージを与えることがあります。
3Dカメラで撮影に入ります。
この患者さんは、他の歯にもセラミックスやメタルのつめ物がたくさん入っていたので、パウダーを少量吹きかけて撮影しました(光の反射)。
形成歯、対合歯、咬合状態をそれぞれ撮影していきます(3~5分くらい)。


■写真10

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画像上で、支台歯にマージンを描いていきます。
パウダーをかけているため、若干マージンが不明瞭になるので、迷った時は口腔内を実際に見て確認します。
セレックの初期提案がおかしな形なので、歯の形を修整します。


■写真11

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今回はe.maxというセラミックスのブロックを選択しました。
ミリングマシーンでブロックを削り出します(約10分)。


■写真12

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削り出したかぶせ物を口腔内に試適して、咬み合わせの微調整を行います。
その後、ファーネスで焼成し、約25分後にオールセラミックスが出来上がり、接着性レジンセメントでセットして終了です。
患者さん、読んでいただいた方、お疲れ様でした。


セレックで2本修復

■写真1



右上の5番と6番の歯です。
金銀パラジウム合金を除去すると、中に虫歯ができていました。
虫歯をきれいに除去し、セレックでオールセラミックスを作製しました。
虫歯の治療をしてセレックで2本修復すると、私の場合、3時間ほどお時間がかかります。


■写真2

私は基本的に全ての治療にマイクロスコープを使います。
特に、根管治療やセレックなどのセラミックス修復にはマイクロは不可欠なので、私一人でマイクロを2台使用しています。


■写真3




歯の修復物には色々な種類がありますが、全てをセレック修復で行うわけではなく、咬み合わせや対合歯の状態、患者さんに就寝時の歯ぎしりやくいしばりがないか、また予算などを考慮して患者さんと相談して決めていきます。
ただ保険診療で使う金属だけは、多くの歯科金属アレルギーの患者さんを診てきましたので、あまりお勧めしていません。


■写真4



セレックのブロックにも色々種類がありますが、今回はe.maxを使用しました。


■写真5




セレックの長所は3Dカメラで、直接口腔内の歯牙を撮影できるところです(直接法)。
歯型を採って作製した石膏模型は多かれ少なかれ誤差を含みますので、模型を撮影して作ったセレック修復物も誤差が大きくなりがちです(間接法)。
またオールセラミックスの形成法は銀歯の削り方と違うので、オールセラミックスの治療に慣れた先生に治療してもらった方がいいと思います。


■写真6



セレックでは1センチくらいの大きさの歯牙を、パソコンのモニターに大きく拡大して作製するので、細かい部分まで設計が可能です。


■写真7



パソコン上で作製したら、ミリングマシーンでセラミックスブロックを削り出し、口腔内で試適、その後、ファーネスで焼成してオールセラミックスが出来上がります。


ガルバニー電流(ガルバニック電流)

■写真1



スプーンやアルミホイルを咬んだ時に、ビリッとした痛みを感じた経験のある方は多いと思います。
これはお口の中の金属とスプーンやアルミホイルなどの金属との間に電流が流れて、歯の神経を刺激したために起こる現象です。
この電流をガルバニー電流(ガルバニック電流)といいます。
この現象はスプーンやアルミホイルを咬んだ時だけではなく、お口の中に種類の違う金属のつめ物やかぶせ物が入っている場合にも起こります。唾液を介して微弱な電流が流れるのです。

またガルバニー電流が発生すると、イオン化しやすい金属が溶出し、体内に吸収されるために歯科金属アレルギーの原因となることがあります。
なので、金属の修復物を入れる場合は、この写真のように「異種金属」を入れるのではなく、「1種類の金属」で統一すべきです。
しかし、金銀パラジウム合金(保険の金属)では、この1種類で統一しても、イオン化(溶出)は口腔内の種々の刺激(PHの変化、咬合などの機械的刺激、温度変化など)により避けられないので、よりリスクを減らすために、ゴールドや白金加金などの貴金属を使用した方が安心です。
さらに言えば、歯科金属アレルギーに対しては、最初から全く金属を使わずに、メタルフリーで治療した方がより安心だと言えるでしょう。


大臼歯の再根管治療

■写真1



左上6番に違和感があり、浮いた感じがするとのことで来院されました。
頬側の歯肉部分に、サイナストラクト(膿の出口)ができていました。
ここに、#25のGPポイントを挿入してレントゲンを撮ってみると、根尖病巣のところに到達しました(黄色の⇒)。
また全ての根尖部に黒い影(病巣)を認めました(赤い⇒)。
再根管治療の場合、治る確率が(再発も含めて)あまり高くないこと、根管治療(歯内療法)で改善しなければ外科的歯内療法という方法もあることなどを説明しました。
患者さんは「検討してみます。」と言われ、御帰宅されました。


■写真2





しばらくして「やはり治療して下さい。」とのことで来院されました。
まず金属のかぶせ物を外すと、メタルコア(金属の土台)が出てきました。歯肉縁には虫歯もできていました。
歯質をできるだけ保存しながら、メタルコアと虫歯の部分を除去していきます。
マイクロスコープ下でう蝕検知液を使いながら、丁寧に処置を行います。
マイクロスコープがあると、深いメタルコアやファイバーポストの除去がとても楽です。
ラバーダムのクランプをかけるためと、仮封材の厚みを確保するために隔壁を作製しました。
ちなみに下から2番目の写真で青い⇒がありますが、上顎の6番はこのあたりに4番目の根管(MB2)があり、肉眼で根管治療された歯では処置されていないことが多いので、マイクロスコープ下で、超音波を使ってしっかり見落とさないように探索します。


■写真3


根充材が割と簡単に除去できたので、その日のうちに根管長測定と拡大・清掃をある程度進めました。
3根管全てに根尖病巣ができています(赤い⇒)。
水酸化カルシウムを貼薬して、水硬性の仮封材(厚さ4ミリ以上)で封鎖して初日は終了しました。


■写真4


1週間後に来院された時には、サイナストラクトも自覚症状も消えていましたので、もう少し拡大・清掃して、バイオセラミックシーラーを用いて根管充填をしました。
この後は、ファイバーポストを口腔内で直接法で作製し、プロビジョナルレストレーション(精密な仮歯)を作って、3ヶ月程様子をみます。
3ヶ月後、レントゲンや症状の有無などの予後評価を行い、問題なければ最終的な修復物を作製していきます。


抜歯を勧められました

■写真1



他医院で、右上1番を抜歯してインプラント治療を受けられた患者さんです。
上の写真の向かって左側の歯がインプラントをした歯です。
インプラントは無事に終了したそうですが、担当の先生から、「左側の前歯2本も根尖病巣ができていて状態が悪いから、今のうちに2本とも抜歯してあと2本インプラントを入れましょう。」と勧められたそうです。
患者さんが、その先生に「根の治療しても無理ですか?」と聞いたところ、「根管治療してもどうせすぐ悪くなるから抜歯は早い方がいい。」と言われたそうです。
患者さんの御希望は、なるべく自分の歯を残したいということで、当医院に「根管治療をして何とか残せませんか?」との相談で来院されました。


■写真2

レントゲンを撮ると、確かに左上1番も2番も根充材があまり入っておらず、2番には少し大き目の根尖病巣ができていました。
患者さんには、「根管内を確認しないとはっきりした事は言えませんが、おそらく歯を抜く必要は無いと思いますよ。」と説明し、インプラントを勧めた先生には申し訳なかったのですが、根管治療をさせていただくことになりました。
そして治療計画を以下のように立てました。

・まず通常の根管治療を行う。
・歯内療法が終わったら築造し、プロビジョナルレストレーション(精密な仮歯)を作って3~4ヶ月くらい様子をみる。
・病変の縮小が認められたら、治癒に向かっていると判断し、最終的なかぶせ物を作製する。
*完全に病巣が消失するまで数年かかることもあるので、そこまでは待たない。
・病変の縮小が認められなければ、あるいは何か症状が出てきたら(特に2番)、外科的歯内療法(歯根端切除術)を行う。


■写真3



まず2本ともかぶせ物を外し、歯質をできるだけ保存しながらメタルコア(金属の土台)を外しました。
その後、隔壁を作製して根管治療に入る下準備をします。
もちろん治療期間中は、仮歯を作るので御安心下さい。


■写真4


ラバーダムを装着し、マイクロスコープ下で根管の中を探索していきます。
歯根破折も無く、根管の状態はさほど悪くなかったので、拡大・洗浄を行い、2回目にバイオセラミックシーラーを用いて根管充填をしました。


■写真5

ファイバーポストを口腔内で(直接法)で作製して、形成・印象をし、技工士さんにプロビジョナルレストレーションを作ってもらいます。
3~4ヶ月後にレントゲンを撮影し、病変の状態を確認し、病変の縮小が確認できたら最終補綴に入ります。


■写真6


根管治療を終えて、2ヶ月半後のレントゲン。
根尖病巣は縮小傾向にあり、治癒に向かっていると思われます。
外科的歯内療法も必要なさそうです。


ホワイトスポット

歯の表面にできた白い部分を白斑、あるいはホワイトスポットといいます。
ホワイトスポットは大きく2種類に区別されます。

①初期虫歯で脱灰して白くなったもの
②エナメル質形成不全という生まれつきのもの

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①初期虫歯のホワイトスポット

歯磨きが不十分だとプラーク(歯垢)の中の虫歯菌によりエナメル質が溶けていきます(脱灰)。
小・中・高校生のプラークコントロールが上手くできていない患者さんの歯頸部付近によく見られます。
まだ白いだけならば、初期虫歯の段階ですので、歯磨きを頑張れば治る可能性があります。なので歯を削って埋めたりはしません。
また歯科医院で定期的にフッ素を塗ってもらったり、御自宅で歯磨きの後に、MIペーストをパックするように歯に塗布するのも効果的です。
しかし白斑の中に茶色い部分が現れたら自然に回復する見込みはまずありませんので、茶色い部分を削って埋める治療が必要となります。

*MIペースト;豊富なミネラル(カルシウムやリン)や口腔内環境の中和作用と緩衝作用を持つCPP-ACP(リカルデント)を含んだケア製品。
インターネットの通販でも購入できます。牛乳アレルギーのある方は使えません。


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②のエナメル質形成不全の部位の歯磨きが上手くできていないと、そこも虫歯になりやすいので、茶色の部分ができたら虫歯の治療が必要です。


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②エナメル質形成不全のホワイトスポット

ペンキを塗ったような白い部分が歯の中央から切端付近にかけてある場合はエナメル質形成不全である場合が多いです。
治療法としては、「これ!」といった確実なものがないのが実情です。
ホワイトニングをして目立たなくなる場合もありますが、逆に目立ってしまう場合もあります。
最後の手段として、ホワイトスポットの部分を削って、コンポジットレジンを埋める方法もあります。
ただエナメル質形成不全の白斑は深層にまで及んでいることが多く、全てを取りきれず(神経保護のため)、微妙な感じになります。


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オフィスホワイトニングをしてみました。
ホワイトニング直後で白さにムラがありますが、意外とホワイトスポットは目立たなくなりました。
続けてホームホワイトニングをすると、さらに目立たなくなるかもしれません。


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この患者さんは、ホワイトスポットの部分を削ってコンポジットレジン充填を御希望されました。
仕上がりは、私は「いまいちだなぁ・・」と思いましたが、患者さんは満足されていました。
ホワイトスポットがエナメル質深部まで及んでいるので、コンポジットレジンの色調が乱れてしまいます。