症例集

抜歯を勧められました

■写真1



他医院で、右上1番を抜歯してインプラント治療を受けられた患者さんです。
上の写真の向かって左側の歯がインプラントをした歯です。
インプラントは無事に終了したそうですが、担当の先生から、「左側の前歯2本も根尖病巣ができていて状態が悪いから、今のうちに2本とも抜歯してあと2本インプラントを入れましょう。」と勧められたそうです。
患者さんが、その先生に「根の治療しても無理ですか?」と聞いたところ、「根管治療してもどうせすぐ悪くなるから抜歯は早い方がいい。」と言われたそうです。
患者さんの御希望は、なるべく自分の歯を残したいということで、当医院に「根管治療をして何とか残せませんか?」との相談で来院されました。


■写真2

レントゲンを撮ると、確かに左上1番も2番も根充材があまり入っておらず、2番には少し大き目の根尖病巣ができていました。
患者さんには、「根管内を確認しないとはっきりした事は言えませんが、おそらく歯を抜く必要は無いと思いますよ。」と説明し、インプラントを勧めた先生には申し訳なかったのですが、根管治療をさせていただくことになりました。
そして治療計画を以下のように立てました。

・まず通常の根管治療を行う。
・歯内療法が終わったら築造し、プロビジョナルレストレーション(精密な仮歯)を作って3~4ヶ月くらい様子をみる。
・病変の縮小が認められたら、治癒に向かっていると判断し、最終的なかぶせ物を作製する。
*完全に病巣が消失するまで数年かかることもあるので、そこまでは待たない。
・病変の縮小が認められなければ、あるいは何か症状が出てきたら(特に2番)、外科的歯内療法(歯根端切除術)を行う。


■写真3



まず2本ともかぶせ物を外し、歯質をできるだけ保存しながらメタルコア(金属の土台)を外しました。
その後、隔壁を作製して根管治療に入る下準備をします。
もちろん治療期間中は、仮歯を作るので御安心下さい。


■写真4


ラバーダムを装着し、マイクロスコープ下で根管の中を探索していきます。
歯根破折も無く、根管の状態はさほど悪くなかったので、拡大・洗浄を行い、2回目にバイオセラミックシーラーを用いて根管充填をしました。


■写真5

ファイバーポストを口腔内で(直接法)で作製して、形成・印象をし、技工士さんにプロビジョナルレストレーションを作ってもらいます。
3~4ヶ月後にレントゲンを撮影し、病変の状態を確認し、病変の縮小が確認できたら最終補綴に入ります。

ホワイトスポット

歯の表面にできた白い部分を白斑、あるいはホワイトスポットといいます。
ホワイトスポットは大きく2種類に区別されます。

①初期虫歯で脱灰して白くなったもの
②エナメル質形成不全という生まれつきのもの

■写真1






①初期虫歯のホワイトスポット

歯磨きが不十分だとプラーク(歯垢)の中の虫歯菌によりエナメル質が溶けていきます(脱灰)。
小・中・高校生のプラークコントロールが上手くできていない患者さんの歯頸部付近によく見られます。
まだ白いだけならば、初期虫歯の段階ですので、歯磨きを頑張れば治る可能性があります。なので歯を削って埋めたりはしません。
また歯科医院で定期的にフッ素を塗ってもらったり、御自宅で歯磨きの後に、MIペーストをパックするように歯に塗布するのも効果的です。
しかし白斑の中に茶色い部分が現れたら自然に回復する見込みはまずありませんので、茶色い部分を削って埋める治療が必要となります。

*MIペースト;豊富なミネラル(カルシウムやリン)や口腔内環境の中和作用と緩衝作用を持つCPP-ACP(リカルデント)を含んだケア製品。
インターネットの通販でも購入できます。牛乳アレルギーのある方は使えません。


■写真2

②のエナメル質形成不全の部位の歯磨きが上手くできていないと、そこも虫歯になりやすいので、茶色の部分ができたら虫歯の治療が必要です。


■写真3



②エナメル質形成不全のホワイトスポット

ペンキを塗ったような白い部分が歯の中央から切端付近にかけてある場合はエナメル質形成不全である場合が多いです。
治療法としては、「これ!」といった確実なものがないのが実情です。
ホワイトニングをして目立たなくなる場合もありますが、逆に目立ってしまう場合もあります。
最後の手段として、ホワイトスポットの部分を削って、コンポジットレジンを埋める方法もあります。
ただエナメル質形成不全の白斑は深層にまで及んでいることが多く、全てを取りきれず(神経保護のため)、微妙な感じになります。


■写真4


オフィスホワイトニングをしてみました。
ホワイトニング直後で白さにムラがありますが、意外とホワイトスポットは目立たなくなりました。
続けてホームホワイトニングをすると、さらに目立たなくなるかもしれません。


■写真5


この患者さんは、ホワイトスポットの部分を削ってコンポジットレジン充填を御希望されました。
仕上がりは、私は「いまいちだなぁ・・」と思いましたが、患者さんは満足されていました。
ホワイトスポットがエナメル質深部まで及んでいるので、コンポジットレジンの色調が乱れてしまいます。