その他の症例

ブラックマージンを改善

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上顎前歯に3本メタルセラミックスが入っていますが、ブラックマージン(歯肉の境目の黒い部分)を綺麗にしたいとのことで来院されました。
咬み合わせも問題なかったので、セレックでe-maxを作製することにしました。


■写真2

まずメタルセラミックス3本を除去して、内部の状態を確認します。
真ん中の1本にはメタルコアが入っていたので、除去してファイバーポストに入れ替えました。


■写真3


セレックでe-maxを作製しました。ブラックマージンも無くなり、明るい感じになりました。


メタルタトゥー

■写真1




歯肉に黒い部分があります。
これはメタルタトゥーといい、かぶせ物の中の金属の土台(銀合金のメタルコア)の成分が溶け出して歯肉に沈着したり、あるいは金属を削った際に金属粉が歯肉に入り込んだものです。
メタルタトゥー自体は害の無いものなので、そのまま放置しておいても大丈夫ですが、前歯部にあると審美的に問題となることがあります。


■写真2

メタルタトゥーが小さい範囲であればレーザーを使って除去できますが、あまりにもタトゥーの範囲が広い場合などは歯肉移植をするなどかなり難易度の高い処置が必要となります。
そうならないように審美性の要求される前歯部などでは、金属の土台ではなく、白いファイバーポストを使用したり、かぶせ物にも金属を使用しないことです(白いかぶせ物でも内面に金属が入っている場合がありますので歯科医師の先生に相談して下さい)。


■写真3




この患者さんは、上顎の中切歯2本の歯肉の色が黒ずんでいるのを改善したいという御希望でした。
メタルタトゥーというほどではありませんが、まずかぶせ物(メタルセラミックス)を外してみました。
次に銀合金のメタルコアをファイバーポストに入れ替えて、オールセラミックスで修復しました。
レーザーの処置などは一切行っておりませんが、土台とかぶせ物をやりかえただけで歯肉の色がよりピンク色になっています。


■写真4

この患者さんは、歯肉が広い範囲で黒ずんでいますが、これはメタルタトゥーではありません。
歯肉にメラニン色素が沈着したもので、口呼吸や喫煙、受動喫煙が原因で起こるものです。
弱い出力でレーザーを当てたり、フェノール・アルコール法でピンク色の健康的な歯肉にできますが、原因が無くならなければまたメラニン色素が沈着してきます。


側切歯の反対咬合

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この3人の患者さんにはある共通点があります。
上顎の中切歯(真ん中の2本)は正常被蓋で(上の歯が下の歯より前に出て少しかぶさっている)、中切歯の隣りの側切歯が反対咬合になっています(上の歯が下の歯の内側に入りこんでいる)。
このような咬み合わせの患者さんでは、中切歯はすでに根管治療がなされていて、かぶせ物が入っているケースが多く見られます。
ということは、このような咬み合わせの方は中切歯に何らかのダメージを受けやすいと考えられます。

原因としては、青い⇒の下顎の歯が、上顎の中切歯(赤い⇒)と側切歯の間に食い込んで、「くさびを打つ」ような力が働くために中切歯に過度な咬合力が加わるためだと考えられます。
咬み合わせを調整しても、食物には厚みがありますので、食事で咬む度に中切歯には常に外に押し出される力が働きます。
また加齢とともに、臼歯部はすり減って咬合は低くなっていくので(酸蝕もあるので)さらにくさびを打つ力は強くなっていきます。
最悪の場合、中切歯は歯根破折を起こし抜歯になるケースもあります。


■写真2

もしお子さんが小学生くらいで、このような咬み合わせになりそうならば、床矯正で歯並びを比較的簡単に改善することができるかもしれません。
床矯正装置は取り外しが可能で、ネジを少しずつ回すことにより軽度の歯並びを改善したり、顎堤を広げることで、将来抜歯しないと綺麗に歯が並ばないようなケースでも抜歯を回避できたりします。
またマルチブラケット矯正より治療費も安くすみ、小学校低学年くらいから比較的取り組みやすい矯正法です(詳しくは矯正専門医の先生にお尋ねください)。

*よく「矯正はいつから始めたらいいのですか?」「永久歯に全て生えかわってからがいいですか?」など質問を受けますが、私個人の考えでは、乳歯が生えそろった頃には矯正歯科専門医の先生に診てもらい始めた方がいいと思います。
乳歯の段階ですでに歯並びが窮屈だと、永久歯に生えかわった時にほぼ叢生になりますし(例えば下顎前歯の歯並びが乱れて重なったり)、顎堤を床拡大装置で早い段階で拡げてあげると意外ときれいに永久歯が生えるスペースを獲得できます。
私は矯正専門医でないのであれこれ言えませんが、私の娘は「永久歯が生えそろったら、小臼歯を4本抜歯してマルチブラケットで矯正しましょう」と、知り合いの矯正の先生に言われていましたが、私が小学校4年生くらいから床矯正で拡大をしていった結果、抜歯せずに7番まできれいに並びました(現在中学3年生)。
4年生だと少し遅いので、5~6歳くらいから受診すれば、色々と打つ手はあるかと思います。


修復物と歯周組織の反応

かぶせ物やつめ物を入れた後、それが歯周組織も含めて良好な状態を維持できるかどうかは、もちろん患者さん自身によるプラークコントロールも重要ですが、歯科医師の治療に依存する部分も大きいかと思われます。
保険治療で使用する金銀パラジウム合金、硬質レジン前装冠、ハイブリッド冠などの修復物は、どうしてもその材質の物的特性から限界があり、致し方ないところもありますが・・・。

最近はジルコニアオールセラミックスがどこの歯科医院でも多く使われるようになってきました。
従来のセラミックスはどうしても割れてしまったり、接着の操作性が難しかったり、患者さんも歯科医師も困惑してしまうケースが多々ありましたが、ジルコニアはまず割れることがありませんし、操作性も容易なので、歯科医師も患者さんに安心して勧めやすいという背景があるようです。

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3ヶ月前に他の歯科医院さんでジルコニアオールセラミックスを入れたが歯肉からの出血が止まらないので歯周病の治療をして欲しいとのことで来院されました。
その歯科医院さんで「歯磨きの仕方が悪い、もっとしっかり磨きなさい」と言われて、頑張って磨いているけど出血が減らないとお悩みでした。


■写真2


裏側を見てみると、セメントがたくさんはみ出ています。
レントゲンの所見と、またマイクロスコープで歯周ポケットの中をのぞいて見ると、たくさんのセメントが歯周ポケット内に溢れ出ていて、また形成ラインが「生物学的幅径」を侵害して滑らかではなくガタガタに設定されていて、かぶせ物自体の適合性に問題があるのが分かりました。
患者さんに歯周病の治療(今回のケースでは歯周外科手術まで)が必要であること、かぶせ物もやりかえないと根本的な解決はできないことをお話ししましたが、3ヶ月前に治療したばかりでお金が無いので、もうしばらく経ってからやりかえたいとのことでした。


■写真3


同じ患者さんの臼歯部のジルコニアオールセラミックスです。
ここからも出血する、歯間ブラシが通らないとお悩みでした。
マージンからセメントがはみ出ていて、歯肉の炎症が強く出ています。
このままでは短期間のうちに、中が虫歯になって歯自体が長持ちしないと思われます。
「やっぱり値段が安ければいいというものではないんですね・・・。」とおっしゃっておられました。

*この患者さんは、あちこちの歯科医院さんに「セラミックスいくらですか?」と電話して、治療費の安い医院を探したそうです。
患者さんの中には「どこの歯科医院もだいたい同じような治療をしてくれるだろう。それならば1円でも安い方がよかろう。」と思っている方が意外と多く、しかし歯科治療の自由診療料金は電化製品の料金とは意味が違い、どこで治療しても(買っても)同じという訳ではないと思われます。


■写真4



他の患者さんの歯です。
4ヶ月くらい前に他医院さんでジルコニアオールセラミックスを入れたが臭いがしたり、咬むと痛いので診て欲しいとのことで来院されました。
ジルコニア自体がマージンを超えて大きくはみだしていたり、セメントがはみだしていたり、一部露出している歯根には抜歯になるほどの大きな虫歯ができていました。
こういうケースで一番悩むのは、患者さんにどうお伝えしたらいいのだろうかということです。
安易に前医の治療結果を否定することは躊躇しますし(前医の先生も一生懸命やった結果でしょうし)、しかし実際に悩んでいる患者さんが目の前にいるわけです。
この患者さんは抜歯になるという深刻な状態だったので、大学病院に仲介に入ってもらい診てもらうことになりました。
大学病院の検査の結果、ジルコニアをかぶせている数本が抜歯ということになりました。
現在、「もう終わったことは仕方ないから前向きに頑張っていきます。」と大学病院で抜歯をしてインプラント治療を受けられています。


■写真5



また別の患者さんです。
やはりジルコニアと歯質のマージンはセメントで埋め尽くされています。

いくつかジルコニアの不適症例を紹介しましたが、これらは単にセメントを取り残しているのではなく、ジルコニアオールセラミックスの適合が悪く形成ラインにぴったりと合っていないために、「セラミックスが浮いて隙間が空いているところをセメントで埋めている」という状態です。
ジルコニアにしろ、セレックにしろCAD/CAMという方法で作製されます。カメラで歯やあるいは模型をスキャンして作製します。
なので、ブロックを削り出すミリングマシーンのドリルが追従できないような歯の形成をしていたり、あるいは印象模型自体の精度が低ければ適合のいいセラミックスは作製できません。
その精度が低いものをお口に接着させるので、たくさん空いている隙間にセメントがたまったり、はみ出しているのです。


■写真6








①精度が高いセラミックスを作るためには、セラミックスの形成ルールを守る必要があります。銀歯を入れる形成法とは違います。
②CAD/CAMの場合、できればマイクロスコープを使って、マイクロがなければ最低でもルーペを使って、ミリングマシーンのドリルが追従できるような丁寧で滑らかな形成を行います。
③生物学的幅径を意識してマージンの設定をします。特に前歯でブラックマージンを恐れて必要以上に歯肉縁下深くにマージンを設定しないようにします。
④可能ならば3Dカメラで直接歯牙を撮影して「直接法」で作製する。設備が院内に無く、無理ならば精度の高い印象採得を行い精度の高い模型を作る、当然歯肉圧排も必要です。

これらは私自身も日々気を付けていきたいと思っていることで、さらに患者さんが御期待される自由診療に近づくよう努力してまいります。


セラミックスと接着

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つめ物やかぶせ物には色々な種類があり、咬み合わせ(対合歯との関係)、くいしばりや歯ぎしりはしていないか、虫歯の大きさ、患者さんの審美的な要求度、経済的理由などにより、歯科医師・スタッフと患者さんと相談しながら決めていきます。
当医院では2010年からセレックを導入しており、私の臨床の柱となっています。


■写真2





保険診療でよく使われる金銀パラジウム合金(いわゆる銀歯)のやりかえです。
歯質との境目に虫歯が見えています。
銀歯を外してみると、汚染したセメント(黒い部分)が見えてきました。
汚染したセメントを除去すると虫歯が中にできていました。

これは銀歯が歯と接着しておらず、隙間から唾液とともに細菌が侵入していたということです。
近年のセメントの性能はかなり向上していますが、それでも銀歯と歯質とは「疑似接着」のようなもので「合着」と呼ばれます。
そのために銀歯は取れたりゆるんだりしやすいので、余計に健全な歯質を削って、脱離しにくい形態(複雑な形態)にして「機械的な維持」でなるべく取れないようにします。

この歯はセレックでオールセラミックスを作りました。
6年後の写真です。状態は良さそうです。


■写真3

この患者さんは8年前に当医院で、犬歯にセレックで作ったオールセラミックスを入れられました(赤い⇒)。
ブラッシング不足で歯肉の炎症が少しありますが、おおむね良好です。
その後、この患者さんは他県に転勤され、5年前に隣りの側切歯(青い⇒)に保険診療で硬質レジン前装冠を入れられたそうです。

側切歯のかぶせ物はブラックマージンになっていたり、歯肉にメタルタトゥーができているなど多々問題があります。それより3年古いセレックの方が綺麗です。
セラミックスは表面がツルツルしているので、プラーク(細菌の塊)がつきにくいため、虫歯や歯周病になりにくく、歯自体を長持ちさせることができます。


■写真4


銀歯をやりかえてセレックでオールセラミックスを作った7年経過後の写真です。


■写真5



8年前に当医院で上顎の中切歯(赤い⇒)に2本セレックでオールセラミックスを入れました。
セレックを始めて間もない頃の症例ですが、状態は良好です。
側切歯に他医院で入れた(青い⇒)硬質レジン前装冠のブラックマージンが気になるとのことで、同じセレックでの修復を御希望されました。


■写真6





セレックは2台購入し、これはセレックオムニカムという機種です。
ソフトも最新のバージョンで、計算が速くて便利になりました。

これが3Dカメラです。当医院では直接法しか行わないので、このカメラで削った歯を直接撮影します。
歯型を採って、模型を撮影して作る「間接法」は誤差が大きくなるので私は行いません。
また削った当日にセラミックスを接着させる(即日修復)ことで、接着効果を最大限にすることができます。

セラミックス治療では非常に繊細な「支台歯形成のルール」が必要となります。
そのためにマイクロスコープは私には必需品です。


■写真7




繰り返しになりますが、銀歯はアルジネート(ピンク色の粘土のようなもの)で歯型を採って作るので、あまり適合性が良くありません。
金銀パラジウム合金自体も展延性が小さく(精密に作れない)、またアレルギーの原因になることがあります。
また銀歯にはプラークが付着しやすいため(セラミックスの約10倍)、歯質との段差から細菌が侵入しやすくなります。


■写真8


最後におもしろい写真ですが、この患者さんは他医院で20年以上前に入れたセラミックスが汚くなってきたので、やり替えたいとのことでした。
歯質とのマージン部分には虫歯ができていたので、内部にも大きな虫歯ができているかもしれないと思いましたが、意外や意外、内部にはほとんど虫歯ができていませんでした。
写真は、窩底部にセラミックスの層が一層接着して残っている状態を撮ったものです。
このセラミックスは20年前のセメントでつけられているはずですが、「接着」、つまりセラミックスと歯質が化学結合しているためにあまり適合性の良くないセラミックスでも内部への細菌の侵入が起こらなかったと考えられます。