その他の症例

歯と歯の間の虫歯

■写真1



歯と歯の間に虫歯ができています。
他の部分には虫歯は全く無く、この虫歯の部分だけを取って治療していきます。
MI治療用の極小の切削ドリルでマイクロスコープを使いながら、う蝕検知液をまめに使い、可能な限り健全歯質は残して慎重に虫歯の部分のみを除去していきます。
*右端が通常のドリル、その左側がMI治療用の小さなドリル、治療時は滅菌して使用いたします。


■写真2



このようなケースでは、私は「コンポジタイト3Dシステム」を好んで使用しています。
歯間を離開し、天然歯に近い豊隆とコンタクトポイントを作ることができます。
虫歯の部分を除去したら、その部分にコンポジットレジンを充填します。
大きな虫歯には使用できませんが、これくらいの虫歯治療には便利なキットです。


■写真3


最近のコンポジットレジンは使いやすく、特にフロータイプは流れのよい物から立体成型しやすい物まで、様々開発・販売され、このような小さな窩洞に充填するケースでも使いやすくなりました。


■写真4

銀歯などの修復物で治療しようとすると、健全歯質まで余分に削らなければならなくなります。
また銀歯などのつめ物は数年毎にやりかえが必要となる可能性があります。
その度につめ物が大きくなって歯質が少なくなっていきます。
やがては神経を取ることになり、かぶせ物になって歯肉との境目に虫歯ができ最後には抜歯になってしまう、このような「やりかえのサイクル」にできるだけ入らないように、患者さんの日頃のブラッシングや定期健診はもちろん大切ですが、最初の治療をどのように歯科医師がアプローチしていくかも重要です。


若年者の虫歯

小・中・高校生の時期の歯はまだ軟らかく、見た目には小さい虫歯でも意外と深部にまで進行していることが多々あります。
エナメル質に限局した、極めて小さい虫歯ならばもちろん様子を見ながらの予防処置のみでいいのですが、もし象牙質に進行が及んできた場合には注意が必要です。
あまり様子見でいくと神経(歯髄)にまで虫歯が達することもあります(痛みがないことも多いので要注意です)。
そして根未完成歯の歯の神経を取るようなことになると、その歯の根の成長が阻害されるので予後も心配です。

■写真1



この中学生の患者さんの虫歯の範囲は小さいですが、レントゲンを撮ると意外に深いことが分かります。


■写真2




麻酔をしてマイクロスコープを使いながら、小さな切削器具で慎重に虫歯を取っていきます。
う蝕検知液は必ず使用します。
レントゲン通り、遠心部分の虫歯が深いです。
*右端が通常のドリル、その左が小さいMI治療用のドリル、治療時は滅菌して使用いたします。


■写真3


感染歯質を除去したあとに、コンポジットレジンを充填しました。


■写真4



別の高校生の患者さんです。
この写真では虫歯は無さそうに見えますが、私達歯科医師が診ると、歯の色が乳白色になっていたり、その下に黒い部分が透けて見えたりして虫歯があるのが分かります。
このレントゲンに写っている4本の歯の歯間部すべてに虫歯ができています。
咬合面のシーラントの下にまで虫歯が広がっていました。


■写真5



また別の高校生の患者さんです。
咬合面にポツンと黒い部分があるだけのように見えますが、歯と歯の間に大きな虫歯がありました。

中学、高校生になると親御さんが仕上げ磨きをしてあげる訳にもいかず、また虫歯の進行も早いので、来院した時にはすでに神経にまで虫歯が達していることも多く、親御さんもお子さんもショックを受けられることが多いです。
できれば小学校高学年くらいまでは親御さんが仕上げ磨きをし、フロスなども通してあげるといいと思います。
また3ヶ月に1度くらいは歯科医院で検診を受け、PMTC(クリーニング)やフッ素塗布などを受けて下さい。
中・高校生も部活や受験でなかなか大変だとは思いますが、定期健診・PMTCをできるだけ受け、日頃から自分でしっかりと歯磨きの時間を確保して、1本1本丁寧に磨く習慣を身につけることが重要です。


ポストコアと歯根破折

■写真1




「神経を取った歯は弱いので、土台を入れて補強してかぶせ物を作りましょう」という説明を受けたことのある患者さんは多いと思います。
しかし根管治療を行っても歯質の剛性はほとんど変わりません。
ただ「神経のある歯以上のものはない」という事だけは確実に言えると思います。
また土台(コア)を入れたら丈夫になるわけではなく、ポストを有する長く太いコアを入れると根管の歯質が薄くなり、逆に歯根破折を起こすリスクが高まります。

また「土台」と言っても色々な種類・形態があり、残存歯質の量や修復物の種類を考慮して決める必要があります。
私が歯科医師になった頃は、保険診療では根管治療をしたら必ずメタルコアを入れ、金パラのかぶせ物を入れるものだと勤務先の院長に教え込まれましたが、欠点も多いと今では考えます。
右の上から2番目の画像は歯質がたくさんある(フェルールが多い)のにメタルコアが入れてありますが、これくらいフェルールがあればレジンを埋めるだけで十分です。
またその目的はあくまでもレジンと歯質を接着させ、根管口を封鎖し上部からの感染(コロナルリーケージ)を防止するためであり、歯質がたっぷりあるのにわざわざ根管壁を削ってファイバーコアを入れる方が良くありません。
またファイバーコアは万能ではありません。
確かにメタルコアより軟らかく、象牙質に近い弾性を持ち歯根破折のリスクをメタルコアよりは少しは減らせると思いますが、お口の中は冷たい物を食べたり熱い物を飲んだり温度変化が大きく、また繰り返し咬合圧がかかるので、ファイバーコアのレジン部と歯質との接着はいずれは破壊されてしまいます。
だからフェルールがたくさんある歯のかぶせ物は長持ちしやすいのです。

フェルールが少ない場合は、修復物を維持するためにポストを有する長いコアを入れます。
メタルコアは審美性の問題や金属アレルギーの問題があり、また印象(歯型)を採って技工で作るので、アンダーカットがないように余分に歯質を削って歯を薄くしてしまう場合もあります。
基本的には根管充填が終わったら、そのままラバーダムをかけた状態で、きれいに接着面を出し、直接法で(歯型を採らずに)ファイバーコアやレジンコアを作った方が感染のリスクを減らせます。


■写真2



かぶせ物がグラグラするので診て欲しいとのことで来院されました。
歯根が短い歯に太いメタルコアが入って、歯根象牙質が薄くなっています。
患者さんはかぶせ物がゆるんだだけだと思われています。
しかし横からのぞいて見ると、歯根が破折しているのを確認できます。


■写真3



患者さんに、実際に破折しているところを確認していただくため、かぶせ物を慎重に外していきます。
歯根が水平かつ垂直に破折していて、垂直破折はマイクロスコープで確認すると根尖にまで及んでいました。
この歯は残念ながら抜歯になりました。


■写真4

別の患者さんです。
歯肉が腫れたとのことで来院されました。
フィステル(ろう孔)ができており、そこから出血・排膿していました。


■写真5

歯周ポケットをのぞいてみると、黒くなった歯根が破折して飛び出しています。


■写真6

レントゲンを撮ると、太いメタルコアが入っており完全に歯根が真っ二つに割れています。


■写真7

この歯は抜歯になりましたが、ヒビが入って破折に至り、自覚症状が出るまでだいぶ時間が経過していたようです。


■写真8

この患者さんは右下の臼歯部を抜歯したままで、部分義歯もインプラントもされていませんでした。
太いメタルコアが入っていて歯質も薄くなっていましたが、左側でばかり食事をされていたそうで、それも歯根破折の原因の一つではないかと思います。
奥歯できちんと咬み合わせを確立し、咬合圧を分散させることでそれぞれの歯への負担を減らすことができます。


フェルール効果

フェルールとは、かぶせ物が抱え込む残存歯質のことです。
フェルールが十分にあると、
①かぶせ物が土台ごと外れることが少なくなる
②歯根破折が起こりにくくなる
これをフェルール効果といいます。

■写真1


左側はフェルールが十分にある場合、右側は全く無い場合です。
左図の青色の斜線部分が、かぶせ物が抱え込む歯質の部分です。
このフェルールが多ければ多いほど(約1.5ミリ~)、かぶせ物はいい状態で長持ちします。


■写真2




フェルールが全周にある歯です。
ブリッジの支台歯ですが、根管治療後の築造はレジンを埋めるだけで十分で、ポスト(根管内に入れる長い部分)を有する築造体は必要ありません。

*ポストを有する築造体 左~ファイバーポスト(間接法)  
 右~メタルコア(間接法)


■写真3

青いの歯はわずかですが、フェルールがあります。
赤いの歯はほとんどフェルールがありません。
前歯では特にフェルールが大切で、虫歯の部分を除去した後に、わずかでも残せるのならフェルールがあった方がかぶせ物が長持ちします。


■写真4







右上の1番がグラグラするとのことで来院されました。
裏側の歯頸部をよく見ると、歯根破折しているのが分かりました。
咬み合わせは、1番は被蓋がありますが、2番は反対咬合で、咬合時に「くさびを打つような力」が加わっていると思われます。
慎重にかぶせ物を除去すると、歯根破折していてファイバーポストごと外れかけているのが分かります。
できるだけ歯質を保存するように気を付けながら、マイクロスコープ下でファイバーポストを除去していきます。
歯根が短いため、後述する歯冠延長術や矯正的挺出術はできませんでした。
左上の1番のかぶせ物もやりかえて、前歯2本を連結冠にするなども考えましたが費用の面でその方法は見送りました。


■写真5





別の患者さんです。
左上の3番が脱離して来院されました。
虫歯も大きく、この時点でフェルールが全くありません。
右上に部分床義歯を使用されていて、左側で主に食事をされているそうです。

数日後、今度は左上の6番がグラグラすると言われました。
指で少し動かしてみると、完全に歯根破折しているのが分かります。
ボロッと歯冠部が取れ、残った歯根は完全にフェルールがなく歯肉縁下に存在しています。


■写真6


この患者さんの脱離した左上の3番と6番は、幸い歯根が長い歯でした。


■写真7


2本とも歯冠長延長術を行いました。
歯肉と周囲の歯槽骨を削除して、歯根の部分が相対的に歯肉縁上になるようにして、フェルールを少しでも獲得します。
その後急いで根管治療をし、ファイバーポストを直接法で作製します。
歯肉の傷が治るのを待って、かぶせ物を作製しました。


■写真8

前歯や小臼歯で、歯根の長さが十分にある場合は、矯正的挺出術を行いフェルールを作り出す方法もあります。
歯根にフックを固定し、ゴムの力でゆっくりと歯根を上に引っ張り上げます。


歯冠側からの漏洩

■写真1



「1年程前に他の歯医者さんで根の治療は終わりました、かぶせ物を入れて下さい」という御希望で来院されました。
上顎前歯部と下顎臼歯部は汚染した根充材が露出し、歯牙にはカリエス(虫歯)ができています。


■写真2

レントゲンでは、はっきりとした根尖病巣は認められませんでしたが(あるのかもしれません)、このようなケースでは再度根管治療からやり直した方が賢明です。
患者さんからすると、「痛くもないし、きちんと根充材が入っているのなら、ばい菌が入ることもないし、どうして根の治療からやり直す必要があるのだろうか?」とお思いになられるようです。


■写真3

根管充填材は緊密に充填されているように見えますが、実は隙間がたくさん空いています。
口腔内は細菌だらけですので、根管口が口腔内に露出すると細菌は容易にその隙間から侵入し、根管内が感染し根尖病巣ができてしまいます。


■写真4

この歯のように、かぶせ物が入っていても、歯肉との境目に虫歯ができているような場合はその部分から細菌が根管内に侵入している可能性が高いので、かぶせ物をやりかえる際にはたとえ症状が無くても念のために根管治療からやり直した方が安心です。


■写真5

別の患者さんの歯です。
根管治療が終わり、仮歯をつけ「次回から土台を作ってかぶせ物をしましょう」という段階で来院されなくなりました。


■写真6

県外にお引越しをされて、そこの歯科医院さんでかぶせ物を入れたそうです。
2年振りにまた福岡に戻って来られ、「かぶせ物がグラグラします」とのことで来院されました。
歯頸部に虫歯(カリエス)が認められます。


■写真7


レントゲンを撮るとファイバーコアは完全に外れ、根尖病巣がはっきりと認められます。
根管上部からの感染が起こっていると考えられます。
かぶせ物を除去すると、根管内に大きな虫歯ができていました。
こういう状態になると、歯は長持ちしないかもしれません。


■写真8





①根管治療中は感染を減らすため、隔壁を作って仮封材の厚みを確保する必要があります。虫歯が歯肉近くまで進行している場合は特に必要です。
②根管治療が終了したらできるだけ早期に直接法でファイバーコアやレジンコアを入れた方が感染のリスクを減らせます。
可能なら根管治療が終了したその日にファイバーコアやレジンコアを入れた方が(数日後に入れるより)根管上部からの感染を少しでも減らせます。また当然、きちんとした接着様式で行われるべきです。
③根管治療が適切に行われた後の、最終修復物の適合性・接着性は根管治療の予後に影響します。


深い虫歯の治療

虫歯が深い場合でも、できるだけ神経を温存できることに越したことはありません。
患歯の現在や過去の症状、レントゲンや冷温熱テストなど、また実際に虫歯を除去して総合的に神経を残すべきか根管治療(抜髄)すべきかを判断します。

虫歯の部分(軟化象牙質・感染歯質)の除去の仕方、治療法は歯医者さんによってまちまちです。
私はう蝕検知液で虫歯の部分を染め出しして、エキスカベータという手用器具やスチールラウンドバーを使って丁寧に除去を繰り返す、いわゆる古典的な方法で行っています。
またマイクロスコープがあると、こういう細かい治療の際にはとても有効な武器となります。

神経が健康であれば、虫歯菌に感染した部分を丁寧に取り除き、その後「しっかりとした材料で封鎖」することで神経は正常に温存できます。
ドッグベストセメントや3Mixなどは使用いたしません。
虫歯菌に感染した期間が長く、虫歯も深く、虫歯菌の刺激で神経の生命力が落ちている場合は、虫歯をきれいに取っても、「魔法の薬」を使っても将来根管治療が必要になるかもしれません。

もし虫歯が神経に達していそうな場合はラバーダム防湿が必要です(神経までの距離が十分にある場合でも本当はラバーダムをかけてからの処置が好ましい)。
そして点状露髄(ちょっとだけ神経が露出)した場合は神経から出血してきますが、止血が確実に行えるなら神経を保存できる確率が高くなります。
その場合、直接覆髄剤として水酸化カルシウム製剤やMTAセメントなどを使用します。

■写真1



右上5番と6番の歯です。
自覚症状はありませんが、少し大き目の虫歯がありそうです。
レントゲンで黒く写っている部分が虫歯です(


■写真2



まず6番の金属を除去しました。
黒く見えるのは、汚染したセメントです。
歯肉縁(銀歯の境目)から唾液が浸入していたためです。
そのセメントを除去すると中に大きな虫歯がありました。
隣りの5番の歯も同様に大きな虫歯ができていました。


■写真3



う蝕検知液を用いて、エキスカベータやスチールラウンドバーを用いて丁寧に慎重に虫歯を除去していきます。
マイクロスコープ下で全ての処置を行います。


■写真4


感染歯質を除去したら、水酸化カルシウム製剤やMTAセメントで覆髄し、コンポジットレジンで封鎖します。
その後、最終修復処置に入ります。


■写真5


別の患者さんの歯です。
2ヶ月ほど前に、他の歯医者さんで銀歯を入れたが、日に日に痛みが出てきたので診て欲しいと来院されました。
銀歯はきれいに入っていたので、咬み合わせが高いのかと思いましたが咬み合わせは良さそうです。
銀歯を外して調べて欲しいと御希望されたので外してみました。


■写真6



外してみると中から大きな虫歯が出てきました。
虫歯菌に感染した部分をきちんと除去し、神経までの距離も十分にありましたが、初診時に冷水痛や自発痛が生じており、不可逆性の歯髄炎になっている可能性があったので、覆髄後にコンポジットレジンで仮り埋めをし、1ヵ月間ほど様子をみました。もし症状が改善しない場合は抜髄になることをお伝えしました。
1ヵ月後には痛みもなくなっていましたので、最終修復処置を行いました。

以上のような虫歯が深かった歯は症状が無くても、レントゲンなどの定期検査が大切です。


前歯の修復処置

■写真1


歯髄壊死により根尖病巣ができ、当時かなり痛んで来院された患者さんです。
根管治療終了後、4年目の定期健診時のレントゲンです。
根尖病巣も無くなり、新しい骨ができています。


■写真2



根管治療は上手くいきましたが、歯冠部のほとんどがコンポジットレジンで固められている状態でしたので(歯質があまり残っていない)、度々欠けてしまい、歯自体も薄くなり、切端はナイフのようにとがっていました。
またそのために対合歯の下顎前歯が廷出してきて、そろそろセラミックスで治療したいと申し出がありました。


■写真3

コンポジットレジンを全て取り去り、ファイバーコアを口腔内で直接作製しました(可能な限り歯質は残します)。
マイクロスコープ下で、ジルコニアオールセラミックスの形成を行いました。


■写真4


今回、前歯の2本は下顎前歯の色を基準に作りました。
隣りの()2番に合わせると、茶色味が強い色になり、重たい感じになるからです。
後々、この2番の歯も何らかの方法で、色調を白く改善していくことになりました。


ホワイトニングが困難なケース

歯を削らずに薬剤を塗布し、光を照射して歯を白くすることができます。
ホワイトニングには医院で行う「オフィスホワイトニング」と自宅で患者さん自身で行う「ホームホワイトニング」、またそのどちらも行う「デュアルホワイトニング」に区別されます。
しかしどうしてもホワイトニングの効果が出にくいケースがあります。

■写真1



①重度のテトラサイクリン歯の場合
テトラサイクリン系の抗生物質を歯の形成期(0歳~12歳頃)に服用すると、歯の象牙質に着色が起こる事があります。
よく目を凝らして見て、薄い縞模様がわずかに認められる程度の軽い方から、グレー、茶色、紫色のはっきりした縞模様になっている方まで程度は様々です。
この患者さんはホワイトニングをしても満足するほどの効果が出ないことは最初から分かっていましたので、セラミックスを入れるなどの方法を提案しましたが、どうしてもホワイトニングをやってみたいとおっしゃられ、オフィスホワイトニングを行いました。しかし結果は予想通り満足のいくものにはなりませんでした。
ホームホワイトニングを長期間続けるともう少し白くなる可能性はあるかもしれませんが、基本的には修復処置(セラミックスなど)で歯の色を変えていった方がよいかと思います。


■写真2



②軽度のテトラサイクリン歯の場合
縞模様がホワイトニング後にかえって目立ってしまう場合もあります。
このような場合、追加でホームホワイトニングをやった方が(ある程度長い期間)、縞模様が目立たなくなることもあります(デュアルホワイトニング)。


■写真3





③酸蝕歯の場合
中年の女性で「歯が最近黄色くなってきたのでホワイトニングをしたい」という方は酸蝕症によりエナメル質が薄くなり、中の象牙質の色が透けて見えてきている方が多いです。
ホワイトニングの効果はエナメル質が豊富なほど出やすいので、酸蝕症でエナメル質が少なくなってきている方はあまり効果を実感できません。
その事を前もって御説明して、御了承いただいてからホワイトニングを行っています。
また酸蝕症の患者さんはオフィスホワイトニングの薬剤で知覚過敏が出て痛みやすいので(ホワイトニング後1~2日ほど)、刺激の少ないホームホワイトニングの方が向いているかもしれません。


■写真4



※ちなみにエナメル質が豊富でホワイトニングの効果が出やすい方はこのような歯の方です。


■写真5





④失活歯の場合
ウォーキングブリーチ法という、歯の裏側から穴をあけてホワイトニング剤を作用させる方法もありますが、効果が不確実で色調の微調整も難しく、反対側の歯と同じ白さにするのはとても困難です。
また一旦白くなっても後々「後戻り」します。自己の歯質をなるべく保存するという意味では意義のあることだと思いますが・・。
このようなケースでは、患者さんが御希望されれば、私はかぶせ物やラミネートベニアなどの方法が確実だと思います。


酸蝕症

■写真1


健康に良いとの理由で、毎日ヨーグルトを食べて健康酢を飲まれている50代の患者さんです。
ここまで歯が溶けてしまうと、歯が冷たい物でしみたり、痛んだりするだけでなく咬み合わせも低くなり、歯科処置が非常に複雑になります。
当医院は地方の郊外の歯科医院なので年配の患者さんが多く、健康酢やヨーグルト、梅干し、柑橘系のフルーツなどで酸蝕症になっておられる患者さんを毎日とても多く目にします。


■写真2


酸蝕症+虫歯(う蝕)のケース。
栄養ドリンクを毎日飲まれている20代の患者さん。
歯の切端が薄くなり欠けてきています。またエナメル質の表面にヒビが入っています。


■写真3


若い方は炭酸飲料や運動時にスポーツドリンクなどをダラダラ飲むことで酸蝕症が起こります。
幼少のお子さんはヤクルトやりんごジュース。
中年以降の方は、お酒を長時間かけて「チビチビ飲み」を楽しむ方。
中年以降の女性で「最近歯が黄色くなってきたのでホワイトニングをして欲しい」とおっしゃる患者さんは、酸蝕症でエナメル質が薄くなって中の象牙質の黄色さが透けて見えてきている場合が多いです。
エナメル質が少なくなっているので、ホワイトニングをしてもあまり白くなりません。


■写真4






これらの写真は、胃食道逆流症の患者さんや拒食症で嘔吐を頻繁にされている患者さんのものです。
歯が溶け、咬頭が平らになり、銀歯の段差が短期間で生じます。


■写真5





酸性の飲食物を完全に避けては生活できません。醤油やドレッシングでさえ、エナメル質が溶け始める臨界点であるPH5.5より酸性です。
酢やヨーグルトを摂取するのも健康にはいいことです。
毎日少し気を付けることで酸蝕症の重症化を防げるかもしれません。

①なるべくダラダラ、チビチビ飲みは止める。ストローを使って、なるべく歯に触れないようにする。
②飲食後、30分経って歯磨きする。唾液の洗浄効果、酸緩衝能(酸の中和)を期待。
③適切な歯磨剤を選ぶ。酸蝕症で歯が黄色くなった患者さんは「ホワイトニング用歯磨剤」を使用することが多いが、研磨剤がたくさん入っているものも多く、さらに酸蝕症を進行させてしまうことがある。シュミテクトPROエナメルやクリンプロ(3M)は初期の酸蝕症予防にお勧め。
④POs-CaF(江崎グリコ)というガムをかむ。唾液分泌を促し、再石灰化を期待。
⑤MIペーストをホワイトニング用トレーに入れ、30分程作用させる(トレーは歯科医院で作ってもらう)。
⑥ちなみにフッ素は虫歯予防には効果があるが、酸蝕症に対しては効果があるか疑問視されている。
⑦進行した酸蝕症に対しては、充填処置や修復処置などの歯科治療が必要となる。
⑧胃食道逆流症に対しては消化器科、摂食障害に対しては心療内科を受診。

患者さんの酸蝕症の進行程度や食生活習慣は個々により異なりますので、かかりつけの歯科医師の先生や衛生士さんに相談して、適切なアドバイスをしてもらいましょう。


骨隆起

■写真1


歯が割れたとのことで来院されました。
左上の5番、生活歯の口蓋側が真っ二つに割れています。
幸いこの歯は神経もギリギリ温存でき、かぶせ物をして治療できましたが、なぜ歯が割れたのか原因を考える必要があります。


■写真2


この患者さんの別部位の歯です。
歯が溶けて象牙質が露出したり、つめ物が割れています。
毎日欠かさず、酢を飲んで、グレープフルーツを食べているそうです。
「酸蝕症による咬合の低下」が認められます。
分かりやすく言うと、酸性の飲食物を毎日欠かさず摂取することにより、歯が溶けて咬み合わせが年々低くなってきているということです。


■写真3



この患者さんは、左右の下顎舌側に骨隆起が認められます。
骨隆起とは、歯に強い力が加わって骨が増殖してきたもので、原因は色々ありますが、その一つに就寝時の歯ぎしりやくいしばりがあります。
骨隆起のほとんどは放置しておいても問題はないのですが、まれに取り外しの義歯を入れる時に邪魔になったり、喋りづらくなった場合は手術で取り除く必要があります。
この患者さんは酸蝕症で咬み合わせが低くなってきたうえに、おそらく「くいしばり」をしていて、歯に過剰な力が加わって歯が割れたと考えられます。

就寝時の歯ぎしりやくいしばりの原因の一つにストレスがあります。
歯にかなり大きな力が加わるために、歯周組織を破壊したり、つめ物やかぶせ物が壊れたりするので、就寝時にナイトガードというマウスピースをすると歯や歯周組織を守ることができます。


■写真4


別の患者さんの下顎隆起です(右下と左下)。
膿がたまって腫れた場合は指でさわると柔らかい感じがしますが、骨隆起は表面が歯肉でその直下にふくらんだ骨があるので、触診すれば容易に鑑別できます。
またこの患者さんのように左右対称にできることが多いです。


喫煙と歯周病

タバコが歯周病を悪化させる原因となることは多くの方が御存知だと思います。
タバコの中の有害物質(ニコチンに代表される)は、お口の中の病原菌から体を守る免疫機能を低下させます。そのために歯周組織が破壊されていきます。
若い人はまだあまり実感がないと思いますが、患者さんを診ていると40歳後半くらいから顕著にタバコが原因で歯周病が悪化してくるようです。
おそらく今までに吸ってきた「累積本数」と関係がありそうです。

歯周病の症状、例えば「歯がグラグラする」などの理由で来院された患者さんの歯周病の治療をしていくと、タバコを吸う方は極めて「治りが悪い、治療の反応が悪い」と感じます。
また歯肉の腫れがあまり出ず、硬いゴツゴツした歯肉になっているので、御本人も自覚症状を感じにくく、症状に気付いて来院した時にはすでに手遅れになっていることも多いです。

■写真1


50代後半の男性です。
右側の上下の歯槽骨が大きく失われています()。
歯磨きの時に出血はしないそうですが、グラグラして咬みにくいということで悩んでおられます。
今までにも数本抜歯をされていて、部分入れ歯を使っておられます。


■写真2


40代後半の男性です。
タバコが体に悪いということは知っていても、歯周病を悪化させるということは全く御存知ありませんでした。
歯肉から膿が出てグラグラするとのことで来院されました。
最近まで他の歯科医院さんに行っていたが、タバコが原因となることは当医院で初めて聞いたと言われていました。


■写真3


40代後半の女性です。
前歯が自然に抜けたとのことで来院されました。
タバコが歯周病の原因になることは知っていたけれど、タバコをやめることができないとおっしゃっていました。


前歯のかぶせ物の治療

■写真1


4年程前に、上の前歯に5本ブリッジを入れたが、ずっと痛くて違和感もあり、つい舌で触ったり、吸ったりしてしまうので診て欲しいとのことで来院されました。
保険で入れたとのことですが、保険治療とは思えないくらい、綺麗に前装冠ブリッジ5本分が入っていました(左上2番が欠損)。
根管治療も上手にされており、全く問題ないように見えました。
前医の先生からも「悪いところは無いから、慣れてくるはずだから様子を見て下さい」と言われたそうです。
患者さんはこの前歯にとても悩んでおられるようでしたので、精神的なものもあるのかなぁと思いました。


■写真2



現時点での咬合をチェックしたところ、かなり高いことが分かりました。
下顎前歯が中心咬合位でも、前方運動でも上顎前歯にガツンガツン当たっており、咬み合わせが原因ではないかと思いました。


■写真3


右下、左下の奥歯に大きな虫歯ができて、つめ物が欠けています。
こういう状態では、奥歯の咬み合わせが安定しないので、前歯の咬み合わせも変わってしまいます。


■写真4


奥歯は後ほど治療することにして、一番気になっておられる前歯5本を先に外すことにしました。
咬み合わせがかなり強かったので、レントゲンに写らない歯のヒビや破折がある可能性も心配されたからです。

右上の1番と2番、歯肉の炎症もあります。新しく作り直す際には、ここは単冠で修復することにします。


■写真5


左上3番、特に問題ありません。


■写真6


左上1番、メタルコアがボロッと取れてきたので、ファイバーコアを作りました。


■写真7


ここまで仕上げて、あとは仮歯を作って2週間ほど咬み合わせをチェックしたり、歯周病の治療をしました。
同時に下の奥歯の虫歯も治療していきました。
下顎前歯が上の歯肉に当たるくらい、もともとの咬み合わせが深いことが分かります。


■写真8

最初の症状も消えたので、ジルコニアオールセラミックスを作りました。
右上1番と2番は単冠で、フロスなどを使って清掃しやすいようにしました。
左上は2番が欠損しているので3本ブリッジで、歯間ブラシやスーパーフロスなどを使って清掃を頑張ってもらいます。

仮着して様子をみましたが、「痛みも取れて、とても楽になりました」とおっしゃっていただきました。


歯を抜いた後の治療法

■写真1


左下6番が咬むと痛いとのことで来院されました。
金パラのかぶせ物が入っている歯です。
歯肉にフィステルやアブセスができて膿が出てきていました。


■写真2


レントゲンを撮ると、根管治療がなされていました。
前の歯科医の先生が一生懸命、根管治療をされた感じが伝わってきます。
しかしもともと歯根の状態が良くなかったのでしょう、大きな根尖病巣ができています。
あるいは、根の歯質が薄くなっているため歯根破折しているのかもしれません(根にヒビが入ったり、割れたりするとそこに相当する歯槽骨が無くなってきて、年数が経つと大きな骨吸収像として確認されます)。


■写真3



根管治療は前医の先生がやりつくした感があり、また骨がだいぶ無くなっているので抜歯をすることになりました。
歯を抜いた後、一般的には「ブリッジ」、「取り外しができる義歯」、「インプラント」が挙げられますが、この患者さんの抜歯した両隣の歯は、全く治療をした痕跡も虫歯も無い綺麗な天然歯であることから、インプラントが一番いいのではないかと思われます。
インプラントをする場合、このように骨が大きく失われていると、人工骨を使ったりして骨を増やす処置も必要となります。
抜歯をする前に、抜歯後の治療をどのように進めていくのかカウンセリングをしましたが、患者さんはブリッジを御希望されました。

抜歯して5週間後の写真です。ブリッジにするために、健全歯を必要最小限削りますがとても残念です・・。
もし抜歯した歯の両隣の歯がすでに治療してあり、つめ物やかぶせ物が入っていればブリッジでもいいと思います。インプラントは費用も時間もかかり、手術も患者さんにとっては怖いと思います。
今回はインプラントを選択していただけませんでしたが、一度削った歯は必ず将来やりかえが必要となります。やりかえる度に歯質が少なくなっていき、さらに歯を失くす原因となります。
他の歯を守るためにも、このようなケースでは可能ならインプラントの方がいいのではないでしょうか?


セレック直接法のメリット

■写真1


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セレック(CAD/CAM)で修復物を作製する方法は、歯科医院によりまちまちです。
おおまかには直接法と間接法に分かれます。
直接法とは3Dカメラで口腔内を直接撮影して作製する方法、間接法とはまず歯型を採って(印象)、石膏模型を作製し、その模型を3Dカメラで撮影する方法です。

当医院では100%直接法で作製しています。直接法の方が医学的なメリットが多いからです。
セレックで高名な先生達も直接法で作製することがほとんどだと思います。


■写真2


まず印象ですが、アルジネートにしろシリコンラバーにしろきちんとメーカーが指定している時間、口腔内で動かさずに保持できているかが大切です。
しかし残念ながらどんなに丁寧で正確な操作で印象採得しても、すでにその印象には誤差が生じています。実際の口腔内の状態を正確に再現できていないということです。

次に採得した印象材に石膏を流して石膏模型を作りますが、硬石膏なのか超硬石膏なのかでも精度が変わりますし、また石膏の粉と水との混水比、気温・湿度などの石膏を硬化させる環境、また石膏を流すスタッフの技量によっても出来上がった模型の精度には大きなバラつきが生じます。

誤差が生じている可能性のある石膏模型を3Dカメラで撮影しても、誤差のある修復物しかできない可能性があります。運よく適合がバッチリなものが出来る可能性もありますが・・・。


■写真3


セレックなどのCAD/CAMを直接法で行うメリットは、
①適合性の良さ・精度の高さ~ただしオールセラミックスの形成のルールを遵守する必要があります。またマイクロスコープがあるとなお良いと思います。

②ワンデイトリートメント~形成から撮影、セットまでを1日で終えることで、支台歯の汚染・感染を防ぎ接着効果を高めることができます。また形成からセットまでのタイムラグが無いので、咬合・接触関係が変わりません(印象してセットまで数日間空くと歯が動いたり、咬み合わせが少し変わったりすることもあります)。


歯周病の改善

■写真1


どんなに頑張って歯磨きをしても歯肉から出血する、歯肉のところに隙間が空いているような、窪んだ感じがするとのことでした。
3本の歯に白いつめ物がしてありますが、適合の状態があまり良くなく、それが原因で歯肉炎を引き起こしているようでした(欠けたりして段差が大きく、また劣化していてガザガザしているのでプラークが溜まりやすい)。


■写真2


新しいつめ物を作りました。
入れた当日はまだ歯肉の炎症があります。


■写真3


1週間後の状態です。たった1週間で歯肉炎がかなり改善されています。
今回、特別な歯周病の治療はしていません。
もともと歯磨きが上手な患者さんなので、段差の少ない適切なつめ物を入れるだけで歯周病は劇的に改善していきます。


ジルコニアセラミックスの咬合調整

■写真1


右上の7番がとても痛いとのことで来院されました。
虫歯も無く、歯周病の炎症も無く、パルプテスターを使ったりして神経の状態も検査しましたが神経にも異常ありませんでした。
色々と問診や検査をしていき、咬み合わせが原因であることが分かりました。
赤く色が付いているところが咬み合わせの歯と当たっているところですが、対合歯のジルコニアとの咬み合わせが強くなっていました。


■写真2


対合歯には、フルジルコニアクラウンが入っています。
私が2年前に入れたもので、適合も良く状態もいいのですが、この患者さんは部分義歯を反対側に使用しており、2年前と全体の咬み合わせがだいぶ変わっていました。
全体的に咬み合わせの調整を行ったところ、痛みは消失し治りました。


■写真3


ジルコニアセラミックスには、一塊のジルコニアから作られたもの()と、ジルコニアのフレーム()に陶材()を盛り上げたものとがあります。
前者は曲げ強度が1000Mpa前後あり、非常に硬く割れにくいため、割れるのを嫌うセラミックスの症例によく使用されます。
後者の表面には普通のさほど硬くない陶材が盛られているため審美性がより高く、前歯部などでよく用いられます。

人の歯は加齢とともにすり減っていき、咬み合わせも少しずつ変化していきますが、フルジルコニアクラウンはすり減ることが無く非常に硬いため、まめに咬み合わせのチェックを行わないとこのように咬み合わせの歯を痛めてしまうこともあります。