エッセイ

羽根がもげた時2016/9/26

自分の中のほとんどの部分を仕事が常に占領していると、生きることに失望してしまう時が来るかもしれません。

仕事が充実していて順調に物事が進んでいれば、きっと心は満たされているでしょう。

朝起きた瞬間に、今日一日の仕事で起きる事を待ち遠しく思えるのなら、きっと幸せなのでしょう。


しかし仕事を長年続けていれば、多かれ少なかれ、嫌な事や辛い事もあるはずです。

そんな時は失望や虚無感に襲われ、生きる事そのものに意味を見い出すことができなくなり、人生の全てである仕事そのものが自分を殺してしまいます。

8年前、不注意で右手に怪我を負ってしまいました。

右手の怪我は、歯科医師として致命的に思われました。

手指に物が触れる度に、神経の電気信号が脳に上手く伝わらず、その度に脳天に電撃のような激痛が走ります。
それが2年間続きました。

「歯科医師の手」ということもあり、手術もあちこちから断られました。

思ったように治療ができず、手指の機能が回復してくれるのか不安で一杯でした(今は回復しております)。

周りの人(特に嫁)にはたくさんあたってしまいました(ごめん)。

ちょうどマイクロスコープを導入した直後だったので、余計に悔しかったのを覚えています。

人生全てを仕事に捧げるのも素晴らしい生き方です。

しかし仕事が自分の全てであるならば、最大限自分と仕事を守る努力をすべきですし、もし仕事を失った時に生きる術や目標が見つかるのかどうかが問題です。

なければ行きつく先は一つしかありません。


44さんの言葉2016/9/5

お引っ越しされた患者さん

お世話になった歯科業者さん

毎日一緒に仕事をしているスタッフ

歳を重ねるにつれ 「さようなら」した回数も増えてまいりました

そのうち両親も死に 子供達も大きくなり

今関わっている人々とも離れ離れになっていくんだろうなと考えると寂しく思います



人生は別れだと思います。

過去が増えて未来が減っていくこと。

そう思うと悲しいけど、

だからこそ その別れが素敵なものとなるように

日々を過ごしたいと思っています。

だから私には後悔がないです。

これからもそうあれたらなと思います。

44さんの感性、とても綺麗です。


人間ドックの結果も良く、すこぶる健康な事が分かりほっとしました。

蕁麻疹も徐々に減ってきました。

前を向いて頑張ります!


院長の品格2016/9/2

先日の「18」という僕のエッセイを読んだのだろう、スタッフ達がプレゼントをくれました。

突然だったので驚きました。気を遣ってくれてどうもありがとう。

今のスタッフは本当に優しい、いい子ばかりです。


過去18年間のスタッフ達との接し方を振り返ってみると、

開業した直後は「歳も近いし、仲良くやっていきたい」という気持ちが強く、

月に1回は食事会をしたり、カラオケにボウリング、社員旅行でハワイや香港に連れて行ったりもしました。

ただ当時のスタッフの中には礼儀を知らない者もおり、

食事に連れて行っても高価な料理を勝手にバンバン注文した挙句「ごちそうさまでした」の一言も言えない、

僕が何十万円も出して海外旅行に連れて行っても「ありがとうございました」の一言も言えない、

言えないというより言いたくなかったのでしょうか?

「私達は院長が勝手に計画した食事会に仕方なくついて行ってあげただけ、私達は院長が勝手に計画した社員旅行に仕方なくついて行ってあげただけ」

くらいの感覚だったのかもしれません。

僕の方が勝手にスタッフと仲がいいと思い込んでいただけで、実際はスタッフとの間にはとてつもなく深い溝と距離があったのでしょう。


しかしスタッフは院長を映す鏡であり、僕に院長としての品格が備わっていないからそういうスタッフがいたのだと、全ては僕が悪いのだと思っています。

それ以降、子持ちの主婦のスタッフが増えてきたこともあり、なかなか診療後に食事に行く事も、社員旅行に行く事もできなくなりました。

時々「こんなにドライな感じでいいのだろうか?」と思う時もありますが(うちはバレンタインデーも年賀状も無し。お金がもったいないし、お互いやらない事にしようと決めている)、仕事の面ではしっかりミーティングもするし、時には冗談を言い合ったりもするし、うちの医院はこんな感じでいいのかなぁと思っています。

逆にスタッフ達も医院の飲み会などに付き合わされるより、プライベートの時間を大切にしたいと思っているかもしれませんしね。

院長の品格、引退するまで少しずつでも上げていけるよう努力いたします!


182016/8/30

仕事が終わった後、急に蕁麻疹がでてきました。

生まれて初めてできたのですが、「あぁ、これが蕁麻疹なんだな。けど何も食べてないし、ノンラテックスのグローブしか使ってないし・・・何でだろう?えらく痒いな。たまたま体調が悪かったのだろう。」くらいに軽く考えて、予想通り数時間で膨疹も消えました。

しかし次の日も仕事が終わると、蕁麻疹がでてきました。

昨日より急激に猛烈なかゆみを伴って、またたくまに全身に膨疹が広がっていきます。
少し呼吸も苦しくなり「これはちょっとマズいかもしれない・・」と少し恐くなりました。

原因に全く心当たりがないので、色々調べてみると「心因性蕁麻疹」というのを見つけました。
ストレスからくる蕁麻疹があるそうです。

そう言われれば、一昨日も昨日もかなりスタッフにイラッとしてしまいました。

開業当初は2人のスタッフでスタートし、現在スタッフが9人います。

医院が大きくなることは喜ばしいのですが、その分スタッフの行動の細かいところまで目が行き届かなくなります。

歯科では、色んな小さな器具や道具を使います。
その一つ一つが高価で大切なものです。

スタッフはその器具や道具をきちんと消毒・滅菌し、きちんと整理・準備・管理しておかねばなりません。

スタッフの管理の仕方が最近ずさんで、毎日毎日次から次へと問題が発覚します。

精神的疲労とストレス指数は最高潮に達していました。


9月2日は開院記念日。
誰もお祝いしてくれませんが、おかげさまで18年目に入ります。

昔に比べれば、スタッフも真面目でいい子が多く、特に副院長の月本医師は誠実に診療を頑張ってくれて本当に助かっています。

しかしスタッフ、特に新人スタッフは言葉づかいの一つ、マスクのつけ方一つ、患者さんのひざ掛けの掛け方一つから教えていかなければならないので、苦労が尽きることはありません(おそらく一生)。


帰りの車の中で独りで口角を上げてニコッと笑ってみました。

今日も一日、笑う事がほとんどなかったので、顔の筋肉がひきつって上手く笑えません。

車のルームミラーに自分の顔を映してみました。

眉間に皺が深く刻まれたこの不機嫌そうな顔を、毎日見なければならないスタッフを気の毒に思います(申し訳ない)。

18年目の目標は、笑顔で診療できる日を一日でも多く増やすことです。

今夜も蕁麻疹がでてきました。また一年頑張ります!


エッセイはエッセンス2016/8/16

2009年からエッセイを書き始め、現在約90個の文章をホームページに載せています。

実際には300個以上書いているのですが、書いた後に歯科医院のHPにはあまり適していないと思った文章、例えば時事問題、政治色、宗教色の強い文章などはボツにしています。


患者さんから「エッセイいつも読んでいますよ。」と時々言っていただきます。

拙い文章ですし、私生活や心情、過去の出来事などを主に書いているので少し恥ずかしくなります。

「先生、あれは本当の話なんですか?」とよく聞かれます。

「傷と感謝」というエッセイだけは、自分が引退するシーンを想像して書いたものですが他は全て実際の出来事です。

自動販売機の下を覗きこんで小銭を探していた学生時代も、親が自己破産して家を銀行に没収された事も、高校時代いじめにあっていた事も、開業して体重が15kg減った事も全て事実です。


エッセイを書くに当たって、最初はガチガチに歯科治療の話、患者さんに役立つ歯科の内容などを書いていこうと思っていましたが、僕自身の日常生活や考えや心情を書くスタイルにしました。

歯科治療というのは、患者さんと歯科医師が人間同士1対1で向き合って行われる診療行為です。

僕らは慣れていて何にも思いませんが、一般の方が初対面の人にお口の中をいきなり見せるという行為はとても恥ずかしいだろうと思います。

お口をアーンと開ける患者さんの中には「こんなに虫歯があって恥ずかしいなとか、こんなに汚くて恥ずかしいな。」とか思われる方も多いと思います。

病院に行くと、白衣の威厳といいますか、患者さんは緊張して固まってしまい、自分の言いたいことも言えず萎縮してしまいがちです。

ホームページで院長という僕の内面の大部分をさらけ出すことで、前もって僕という人間を少しでも知ってもらえたなら、僕のみじめな部分を笑っていただけたなら、患者さんも少しは診療時に気が楽になるのではないかなと思って書いています。

逆に僕の文章を読んで、気分を悪くされる方は実際に治療もスムーズにいかないと思います。

文章も診療も「相性」は大事だと思うからです。


警察官の方を見かけると、何も悪い事はしていないのに何だか緊張してしまいませんか?

けれど警察官の方も数名、当医院に治療に来ていただいていますが、制服を着ていない普段は本当に普通の方々です。

短パンとTシャツで来られたり、仕事の時のような威圧感も全くないですし、礼儀正しく穏やかな方ばかりです。

警察官の方の普段の様子を見ると、制服姿の恐いイメージが吹き飛びます。

僕もエッセイを通して、患者さんの治療時の緊張を少しでも払拭できたらいいなと思いながら書いています。


loss of control2016/8/8


久し振りに日曜日の昼間、博多駅周辺を歩きました。

気を失って倒れてしまいそうになるくらいの熱射。

毎日、朝から夜までエアコンの効いた医院内に閉じこもっていると、外の季節感に鈍感になってしまいます。

患者さんがこんな暑い中、遅刻せずにキャンセルせずに、来院して下さっていることに改めて感謝いたしました。


今度久し振りに人間ドックに行きます。

以前は休診にしてまで、自分の健康診断に行く事はなかったのですが、今は副院長の月本医師がしっかり僕が留守の間も医院を守ってくれるので、安心して出かけることができます。本当にありがとう。

ちゃんと御飯も食べていて、運動もしていて、同年代の人より健康だと自負していたのですが、急激にパワーが落ちてきていることを自覚します。

どこも悪くなければいいのですが・・。


僕の従兄の整形外科医も全く自覚症状がなかったのですが、人間ドックで肺ガンが見つかりました。

オペと抗癌剤を避けることはできませんでしたが、それでも5年生存率が50%だと言われています。

発見がもう少し遅かったら、大事になっていたでしょう。

そう遠くない未来、大概のガンは克服するくらいに医療は進歩するでしょうが、今はまだ検診をまめに受けて早期発見し早期に治療することが大切です。

分かってはいるのですが、なかなか検診に行くのはおっくうになってしまいますよね。

もう少し生きていたかったと後悔する前に、若いうちから検診は受けた方が良さそうです。


ボス(BOSS)2016/8/1

先日、東京に行った時、古くからの友人である繁美(仮名)に呼び出された。
繁美は仕事が出来る女性で、一年前から、IT企業のソフトウェア開発チームリーダーをしている。

「やぁ、久しぶり。仕事は順調?」
「私、結婚したの。」
「へーぇ!それはおめでとう。いつ?」
「この前。」
「ふーん・・でもさ、確か繁美って今の会社にヘッドハンティングされて入ったんでしょ?まだ入社して1年くらいじゃん。仕事はどうするの?」
「うーん、まだ続けてる。でも子供ができたら辞めようと思う。」
「繁美のボス、繁美の会社の社長のことね、確か繁美を引き抜くのに、えらく大金を使ったんじゃなかったっけ?」
「そうみたいね。」
「確か、最低2年間は結婚しないで仕事に集中するようにボスに言われてなかったっけ?」
「そうよ。けど今でも仕事はちゃんとやってるわ。」
「ボスは怒ってない?」
「たぶん怒ってる。不機嫌だし、口をあまりきいてくれなくなったわ。けど私何も悪いことしてないもん。」
「まあ、そりゃそうだけど・・。ボスも期待を裏切られてショックを受けてるんじゃないかな?かなり繁美には期待してたみたいだから。それに独身と結婚している場合とじゃ違う。いつ仕事が出来なくなるか分からないし。プロジェクトのリーダーとかもやってるんだろう?」
「一応契約は来年の夏まではあるから、それまでは仕事はちゃんとするわ。前の旦那は家事を手伝ってくれなかったけど、今の旦那は結構家事も協力してくれるから楽よ。子供がいつできるかは分からないけどね。」
「でもさぁ、結婚はおめでたいことだけど、ボスとの約束を破ったのはいけないんじゃないかな。」
「口約束だし、知ったこっちゃないわよ。あんた、ゴチャゴチャ私に説教するなら帰ってよ。あんたも歯医者やってて、ずっと女の従業員相手にしてるなら、そういう”女の事情”くらい分かるでしょ!!」


繁美さん、だからこそ僕にはボスの気持ちが良く分かるし、ボスが気の毒なんですよ。


いい買い物2016/7/24

寝心地も確かめないで通販で買った安いベッドを長年使っておりました。

そのためか分りませんが、朝起きた時の、肩や腰の痛みに長年悩まされておりました。


そこで先日、家具屋さんにベッドを見に行きました。

実際に寝心地を確かめてみると、どれもこれも素晴らしい。

二百数十万円のマットレスも展示してあり、寝させていただきましたが、これは異次元の寝心地でした。


僕が選んだマットレスはそんなに高価ではありませんが、それでも今まで使っていたベッドの数倍のお値段がします。

かなり迷いましたが、ベッドの上で9時間、人生の三分の一強の時間を過ごしているのだからと自分に言い聞かせて思い切って購入しました。

過去に、自分の体に合った枕などもオーダーで作ってもらったこともありますが、マットレスがしっかりしていれば、枕はこんなにペラペラの物でもいいそうです(枕よりマットレスの方が重要だそうです)。

おかげで最近、朝起きた時の肩や腰の痛みが全く無くなりました。無理して買って良かったなぁと思いました。

旅行や服やアクセサリーなどの娯楽にお金を使うのもいいですが、ベッドのように体の健康に直結する物にお金をかけるのも大切なんだと思いました。


歯もそうですよね。

昨日も、6年前に自分が入れたセレックの歯を定期検診で診させていただいたのですが、歯肉の状態もかなり良く、セレックも綺麗で長持ちしそうでした。

一方、「お金がないので・・」と言われて、セレックの隣の歯に入れたハイブリッドセラミックス(プラスチックにセラミックスを少し混ぜてあるもの)は、6年経って古ぼけてガザガザになっていました。

近いうちにやりかえが必要になります。

初期投資を少なくするために安いハイブリッドセラミックスを入れると、早い段階で虫歯が再発したり、やり替えが必要になり、結局最初からセレックを入れとけば良かったねということが多いです。

歯質はやりかえの度にどんどん少なくなってきます。お金では買い戻せないのです。


解脱2016/7/3

先日、テレビを観ていたらタイのニューハーフが出ていて、おそらく美容整形をしているのだろうが、そのクオリティの高さに驚いてしまった。

そのニューハーフの身長と体重が172㎝、52kgで、スタジオのタレントが「痩せてる!スタイルがスリムで凄い!」と驚いていた。

ところで僕も身長172㎝なのだが、実は僕の方がスリムなのだ。

僕が本気を出したら、結構いい感じのニューハーフになれるのではないだろうか?

と、くだらない事を想像しながら、自分の体重について考察してみた。


一般的には中年になると太る人が多いと思う。

食生活の乱れや運動不足、基礎代謝量の低下(体の老化)などがその原因としてあるのだと思う。

ただ僕から言わせると、太れる人は何だかんだ言ってまだ幸せな方なんだと思う。

僕が痩せてしまった原因は「心的ストレス、精神的疲弊」、これに尽きる。

冗談抜きに、一年中、絶えることなく、次から次へと悩みや辛い事が襲いかかる。

反発を恐れながら書くが「一部の従業員と一部の患者」、この悩みで開業時に60kg以上あった体重がここまで落ちた。

毎年1kg弱ずつ減少している計算になる。

メンタルの強い歯科医師ならこうはならないと思うが、僕の心はガラスのように脆く繊細なのです。


僕は歯科の仕事が本当に大好きです。

従業員のみんなに助けられ、また通って下さる患者さんのおかげで楽しい歯科医師人生が送れています。

大多数の従業員と患者さんには本当に心から感謝しています。

しかしその一方で、一部の従業員に悩まされ、一部の患者さんに追い込まれ、命を削りながら歯を削っているのも事実。



この「矛盾した、まぬけな僕の人生」は、もうどうにも変えようがないのだろうか?

いやこれからは頑張ってたくさん食べて、「彦摩呂さんクラス」を目標にふくよかになっていきたいと思う。

10年後、「あら、院長は別の先生に替わったの?」と言われるくらいになれれば、きっと僕は解脱の境地に達しているはずだ。





MTを懐かしみ、サービスに感動2016/6/28

ここ5年程、ホンダNSX-Rを最後にMT(マニュアル)の車に乗っていなかったので、最近ウズウズしておりました。

再びMT車に乗り、AT車で軟弱化してしまった体を鍛え直さねばならないと思い、どんな車がいいか模索しておりました。

排気量2000cc以下の車で、車重が軽い車。
候補として、以前所有していたホンダのS2000やロータスエリーゼ,マツダロードスターなどを考えておりました。


1ヶ月ほど前、何となく思いつきで「ヨーロピアンバージョン福岡東店」に出向いたところ、ありました!理想の車が!

パワステやカーナビなどの快適装備がほとんど付いていないこの中古車に一目惚れしてしまい即決してしまいました(もちろんローンで、96回払い)。

納車の日、早速、山道で4時間みっちりと走り込み、ヒールアンドトゥなどの基礎的な練習を繰り返し行いました。


ところで、納車の時に感動したサービスがありました。

車の説明を聞いていると、志帆さんのCDがカーステレオから流れてきました。

前のオーナーの忘れ物が入っていますよ、と担当営業の方に言ったところ、

「いえ、Superflyがお好きだとヤヨシ様がブログに書いておられましたので。初めてのドライブにラジオの音源というのも物足りないと思いまして、私の方で御用意させていただきました。」

超感動いたしました。今まで、20年間で色々な車を購入してきましたが、こんな素敵なサービスは初めてでした。


新しい相棒と過ごす週末が楽しみになりました。

人間の相棒は裏切る事もありますが、車の相棒はどこまでも僕と一緒に走り続けてくれます。

歯の勉強もさぼらずに頑張ります。


天地2016/6/15

今日は朝から嬉しい事がありました。

他の医院で2年間、根管治療を続けていたがなかなか痛みと腫れが取れないという患者さん。

このような、いわゆる「難治化」している場合、多くは治療により根尖が破壊されていたり、本来の根管を逸脱して根管治療が行われていたり、根管の見落としがあったりして、再治療をしてもなかなか治りにくいものです。

マイクロスコープやCTがあれば、根管の見落としなどは比較的容易に解決できますが、根尖が破壊されている症例では、外科的歯内療法を併用してやっとこさ治れば儲けものです。

この患者さんも無理かなぁと思っていましたが、基本に忠実にやるべき事をやったら、無事に症状も消失し、2回で根管治療を終了することができました。

たまたま運が良かったのでしょうが、とても嬉しい一日のスタートでした。


その日の夕方、仕事が終わり帰ろうとしていた時、ある男性から一本の電話。

「お前の所で入れたセラミックスが咬めない、金を返せ!」という内容(いきなり「お前」と喧嘩腰!)。

2ヶ月前にセラミックスを入れ、仮り着けの期間も設け、「ちゃんと咬める」とおっしゃっていたのですが・・。

また話の内容から、セラミックスが問題ではなく、歯周病の急発のような気がしたのですが全く話を聞いてくれません。

治療時間もかけ、お口の中にはすでにセラミックスが入っていますので、お金は返金できない、咬めるようになるまで責任をもって最後まで治療させていただきますので治療の予約を取って下さいと説明しましたが、抗議はさらにエスカレート。

本当は私に何か他の不満とかあるのではないですか?と聞いてみても、「セラミックスが不満なだけだ」と言う。

それでは〇〇さんは、お金を貰ったら満足なのですか?と聞くと、「そうだ、その金を持って他の歯医者に行く」と言う。

ああ、そういうことか、とピンときました。

咬める、咬めない、は主観的な感覚です。
治療は成功しており(少なくとも僕はそう思っている)、咬み合わせの調整や慣れる時間も必要かもしれないと説明しましたが、いくら言ってもこの手の人達には通用しません。

大学の後輩の弁護士に任せようかと思いましたが、大した金額でもなく、この種の人達とは争っても時間の無駄です。

じゃあ、お金を渡すから今から取りに来て下さい、と言うと数分であっという間に医院にやって来て(後ろめたいのか絶対に目を合わせようとしないし、電話では威勢がよかったが急に大人しくなる)、お金を渡し、二度とクレームを言ったり金品の要求をしないという念書を書かせました。

返金したので、本当はお口の中のセラミックスも返してもらうべきなのですが、おそらくこの男性は、僕が入れたセラミックスを外さずにこのまま使い続けると思われます。


もう開業して17年になります。

今まで、嫌というほどこの種の人達を見てきました。

しかし、もし自分が本当にミスしていたら謝りますし、治療をやり直したり、精一杯の誠意は見せるつもりです。

今回は僕のカンや経験に基づいて返金しましたが、通常は返金などしません。
治るまで治療に通って来てもらいます。

また普通の患者さんなら、やり直しの治療にきちんと通って来てくれるはずです(もちろんその場合、お金はいただきません)。

しかし、この種の人達はこちらの話しを全く聞かず、自分の理屈のみを押し付け(理解できない歯学理論)、すぐにお金を要求してきます。

僕も開業当初はこの電話のような人達にびくびくしていましたが、今では全く動じなくなりました。


世の中にはこのような「クレーマー」に悩みながら仕事をされている方も多いかと思います。

先日も図書館で、「何でこの雑誌は貸し出しできないんだ。海外の図書館ではできたぞ!企業努力が全くなっとらん!」と受付の女性に数十分間、わめき散らす中年男性を見ました。
常識も何もあったものではありません。


悪が入り込んでいる人は実際に多いし、その人の魂そのものが闇由来の人もたくさんいるそうです(僕が慕っている、霊能者の女将さん曰く)。

そんな闇のために、光であるあなたが、精神のエネルギーを使い果たして、病気になったり自死しては闇の思うつぼです。

「世の中には、変わった人もいるもんだなぁ」と思ってあまりクヨクヨ悩まないで下さい。

あなただけではなく、同じように辛い、嫌な思いをしている人は世の中に一杯います。

あなたの気持ちが強ければ、闇を寄せ付けません(ということは、僕はまだまだ弱いのだな)。

頑張りましょう!


意識2016/6/12

先日、テレビで、元プロ野球選手がニヤニヤ笑いながら、「二日酔いのままマウンドに立って投げてましたよ」と自慢げに話しているのを観て「こいつ馬鹿か」と思いました(汚い言葉ですいません)。

それはお金を出して観に来ているお客さんに対して失礼なのではないかと。
なぜしっかりコンディションを整えて、プロ野球選手として最高のプレーをお客さんに見せようと思わないのか(それだけの才能があるのに)、お金を貰ってプレーするプロとしての自覚が欠落し過ぎなのではないかと思いました。

彼は才能に任せて、二日酔いでも良いプレーができると思っているのでしょうが、そう思っているのは自分だけで、客観的に見てどれくらい前日までに試合を見据えた精一杯の自己管理を実践して、お客さんの前で万全のコンディションで精一杯のプレーをやれたかどうかが大切だと思うのです。

イチロー選手を見て下さい、彼がいかにストイックに自分を律し、野球に取り組んでいるのか野球に詳しくない人にも伝わってきますよね。

有名なロックミュージシャンが、「今夜のライブは50本のツアーの一つに過ぎないが、お客さんにとっては今夜のライブはたった1回のライブなのだから、一曲一曲を全身全霊を込めて歌いたい」と言っていました。

そのアーティストは普段の生活でも最高の楽曲を作り、また歌うために、常に自分の生活に戒律を課していました。
これが本当のプロなのでは?

もし皆さんが明日、開腹手術を受けるとします。不安な気持ちで一杯でしょう。
その手術前夜に担当の執刀医が夜中までキャバクラやクラブで酒を飲んでいたとしたらどう思いますか?いい気はしないでしょう?
そんな愚かなお医者様はいないと思いますが・・。

それでは歯科医はどうでしょうか?
翌日に診療があるにもかかわらず、中洲で夜中まで酒を飲んでいる先生を知っています。
睡眠不足どころか半分二日酔いです。

おそらく御本人は自覚されていないと思いますが、若干のアルコールが検知される状態で診療していると思います。
歯科医師同士の付き合いもあるから仕方ないと思いますが、それなら平日ではなく土曜日の夜に会合をするなど工夫すべきです。
著名な先生にもそういう方がおられるのは残念です。

以前うちに大学からアルバイトに来ていた男性の先生が、夜中3時過ぎまで飲んでいたらしく、ろくに寝ずに酒臭い状態で出勤したことがあります。

僕はその先生に日給の2万円を渡して、「今日はもう帰りなさい」と言いました。
うちの大切な患者さんを診させるわけにはいかないと判断したからです(彼がその後出勤する事はありませんでした)。

開腹手術では許されない事が歯科治療では許されるのでしょうか?

医科の治療に比べれば、確かに歯科治療は直接命に関わるものではないし、甘いのかもしれませんが、人の体をさわる以上、医科だろうが歯科だろうが同じだと思うのです。

「オレは3時間寝れば十分」なのではなくて、翌日の診療に備えて睡眠をしっかり取り、できる限り体調を整えた状態で患者さんを診るのがプロとして、医療人として患者さんに対する最低限のマナーだと思うのです。

他人の行動に口出しするなとお思いの方もおられるでしょうが、患者さんを巻き込む以上、それでは済ませられません。

僕はこの20年間、平日に酒を飲みに行ったことは一度もありませんし、7時間以上はしっかり睡眠を取り、翌日の診療に体調を整えて臨んでいます。

冷酷かもしれませんが、自分の子供が風邪をひいたら、僕は自分の部屋に閉じこもって絶対に子供に近づきません。
全て嫁に看病させます。
自分が風邪をひいたらベストな状態で診療できないからです。

もちろん僕にも欠けているところがたくさんありますが、これが大した歯科治療のセンスも才能もない、凡人である僕ができる精一杯のプロ意識なのです。


折れ線グラフ2016/5/8

先日スタッフに「院長も時々加齢臭がしますよ。」と言われた。

スタッフに悪気があった訳ではなく、何気ない会話から出た一言である。
事実なだけに苦笑いするしかなかったが、ちょっとだけショックだった。

歯科医師は患者さんに距離的に接近する職種なだけに、常日頃からなるべく気を付けてはいる。
40歳を過ぎてからは毎朝シャワーを浴びて出勤している。どんなに寒い氷点下の冬の朝にでもだ。

夜ももちろん風呂に入り、デオドラントソープで念入りに体を洗う。
また肌着も夜だけではなく、朝も一式、上から下まで全て取り替える。
院長室にも汗をかいた時などにすぐに交換できるように、Tシャツから靴下まで全てをストックしている。

そういった努力も報われなくなる日がついにやって来たようだ。
でも仕方がない。
劣化のスピードが努力を上回る日がついにやって来たということだ。

ただ医療従事者なので、白衣を毎日洗濯したり、無精ひげを生やしたりしないように、脂ぎったりしないように、お腹が出たりしないように(体脂肪率8%を維持)、できるだけ清潔感だけは何歳になっても意識していこうと思う。
早朝のシャワーも下着の1日2回交換も引退するまでは続けよう。

見た目はもう今後、改善の余地無しだが、自分の努力次第では体力・健康面では右上がり、否、せめて横ばいくらいには維持できるかもしれない。

健康で仕事を思いっきり楽しめることが、人生で最もありがたい事のような気がします。


電気自動車2016/5/8

先日、日産の営業マンの方に日産リーフを2日間お借りしました。

最初は電気自動車なんて大した事ないんだろうと思っておりましたが、乗って驚きました。
ガソリンで動く車とはかなり違います。

僕は2010年と2013年モデルの日産GT-Rを購入しました。
安定性もさることながら、0→100km/hの加速力が確か2.7秒でしたか。
なので大抵の車には驚かないのですが。

まず加速力。アクセルを踏み込むと、いきなりタイムラグも変速ショックもなく、スムーズに加速していきます(飛行機の離陸のような感じです)。
見た目とは裏腹にかなり速いです。またロードノイズは多少入ってきますが、電気自動車なので当然静粛性も高いです。

残念なのが、エコ仕様として開発された車なので、おじいちゃんでも、若奥さんにでも乗れるセッティングになっていること。
足回りを固めて、ステアリングのフィーリングや外見をもう少しスポーティにして出せば、僕のような車好きのオジサン達にも好まれるような気がします。

それとガソリンではなく、電気をコンセントから充電して使うので、ガソリン代は0円、電気代がわずかにかかる程度で、維持費もかなり安いみたいです。
税金も安く、購入時に国からの補助金もあるそうです。

あとは航続距離ですね。1回の充電で500キロくらい走ってくれたらさらに魅力的です。


近くて遠い2016/5/8

日曜日。近所のスーパーに昼飯の弁当を買いに行きました。

すると大学生くらいの男の子がお花売り場でかなり真剣にカーネーションを選んでいました。

そうか、母の日に贈るんだな。けど大学生の男の子が偉いなぁと思いました。

僕は中学を卒業してからずっと親元を離れて生活しているので、あまり親への執着が無いというか(お互いに)、今でも医院から車で10分くらいの所に両親は住んでいますが、自分から会いに行くことはまずありません。

顔を見るのは、親が金をせびりに来る時くらいです。

ところで当医院だけかもしれませんが、ここ数年くらい、17~20歳くらいの男性の患者さんがお母さんと一緒に来院するのを良く見かけます。

特に中高校生男子は9割以上、お母さんと一緒に来ます(対照的に女子高校生は100%、一人で来ますね)。

予約もお母さんが取り、説明もお母さんが同席、お支払いも、送り迎えもお母さんが一緒。

別に悪くはないんですが、僕等は小学生の頃から一人で自転車に乗って歯医者に行くのが当たり前だったような。

時代は変わるんですね。

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