虫歯治療

口腔内カメラに虫歯があるところを写して、患者さんに確認していただき、治療方法を御説明します。

▲モニターに拡大して詳しく御説明
 します

▲歯と歯の間に虫歯が透けて見えます

▲銀歯の中にも虫歯が出来ていました

虫歯を取った後は、虫歯の大きさ、咬み合わせ、材質の生体親和性、また審美的な面も考慮して、幾つか修復材料を御提案いたしますので、その中からお選びいただけます。

▲しっかりカウンセリングしますので
 御安心下さい

▲セレックでオールセ
 ラミックスを作製

麻酔はできるだけ痛くないようにまず表面麻酔をします。

また麻酔液と注射針は前もって温めておき、33G(ゲージ)の極細針を使用することで麻酔の痛みを軽減します。

▲33Gの極細注射針

虫歯治療には齲蝕検知液やマイクロスコープ(手術用顕微鏡)を使用し、虫歯の取り残しが無いようにします。

マイクロスコープ下で治療することで、歯質の削除量を最少限にすることができ(MI治療)と精密治療が行えます。

▲う蝕検知液

▲マイクロスコープを2台設置

▲肉眼では見えない領域で治療します

また神経がある歯(有髄歯)に勝るものはないと考えますので、神経(歯髄)を残すことをまず第一に考えます。

虫歯が大きく根管治療になった場合でも、ラバーダム、マイクロスコープ、CTなどを使用し丁寧な根管治療を心がけています。

▲銀歯の境目に虫歯ができています

▲歯髄に達する大きな虫歯

▲根管治療にも力を入れています

根管治療

▲ZOO

▲ラバーダム

当クリニックでは、根管治療を自費治療でも行っています。
その際、まずラバーダムやZOOといった器具を使い、唾液の流入を防ぎ、根管内を汚染させないように配慮します。

またマイクロスコープを用いて、肉眼のみの治療では確認できない根尖部分をはっきりと確認しながら根管治療を行います。

このように根管治療をすることにより、予後成績が(病巣の再発など)約2倍良いと言われています。

またレーザーも併用して治療していきます。


自費根管治療料金(消費税別)   

自費で行う根管治療について

  • マイクロスコープを必ず使用します。
  • ラバーダムを必ず使用します(歯質が少ない時は隔壁を作ります)。
  • 患者さんごとに新品のファイルを用意し、治療前にBクラスオートクレーヴで滅菌します。ファイルは基本的に1回の治療で廃棄します。
  • 最新のニッケルチタンファイルを多用します。他にもKファイル、Cファイルなどを用います。
  • 使用する器具類はしっかり滅菌し、できるだけディスポーザブルの材料を使用します。
  • 貼薬は水酸化カルシウムを使用します。
  • MTAセメントを多用します。
  • 外科的歯内療法(歯根端切除術)は肉眼で行わず、マイクロスコープ下で行います。
  • バイオセラミックス系の根管充填シーラーも使います。
  • 治療時間を長めに取り、その患者さんに集中して治療します(他の患者さんと掛け持ち診療をしません)。

以上が当医院の自費の根管治療の概要です。保険治療ではコスト的に難しい事が行えます。
これにより根管治療の予後成績が約2倍良くなると言われています。
自費の根管治療を受けられた場合、被せ物も自費治療になることを御了承下さい。

▲根管拡大形成器トライオート

▲細く曲がった根管に対応可能な
 ニッケル・チタンファイル

▲超音波根管洗浄器

▲Bクラスオートクレーヴで
 滅菌した器具類

▲患者さん専用の新品ファイル

▲マイクロスコープと
 ラバーダムを使用

症例1

■写真1




右上の6番が時々ズキズキ痛むとのことです。打診痛、咬合痛もありました。
まずパノラマレントゲンを撮影しました。

レントゲンでは、向かって左上の奥から2番目の歯になりますが、すでに根管治療が行われています。
その歯が接する上顎洞が少し白く写っていたので、CTも撮影しました。

CTで見ると、右上の上顎洞の粘膜が肥厚し上顎洞炎を起こしています。
歯根の感染からの歯性上顎洞炎と思われます。


■写真2



銀歯と根充材を除去し、根管治療を始めました。
前医の先生の治療では3本の根管が治療されており、口蓋(P)の根尖から血と膿が出てきました。
P根の根尖は壊れ、ラッパ状に拡大形成されていました。


■写真3


上顎の6番は90%以上に「4つ目の根管(MB2)」が存在します。
「4つ目の根管」は細く入口も小さいことが多いため、肉眼のみの根管治療では見落とされることが多々あります。
マイクロスコープ下で超音波チップを使い、4つ目の根管の入口がありそうな所を探索すると、治療が施されていない4つ目の根管が見つかりました。
4つ目の根管(MB2)を一から拡大・清掃していきます。


■写真4

痛みも取れ、マイクロスコープで見ると排膿もなくなり、根管も全て綺麗になったので根管充填しました。
口蓋根(P根)は根尖が壊れていたため、少しアンダーで根充しています。
上顎洞炎の粘膜の肥厚は徐々に治ってくると思われますが、経過観察が必要です。

(今回の治療費)
大臼歯 根管治療 ¥90,000
(消費税・CT撮影費別)

症例2

■写真1


右下の6番が腫れて、痛むとのことで来院されました。


■写真2


レントゲンを撮ってみたところ、神経は取っているようでしたが、根充材もほとんど入っておらず、根の周りに病巣ができて、骨が大きく吸収されていました。


■写真3



プローブで歯周ポケットの深さを測ってみると、プローブが中の方まで深く入っていき、膿と血がたくさん出てきました。
いわゆるエンド・ペリオ病変(歯内・歯周複合病変)で、歯周ポケットと根尖病巣が交通している状態です。
普通に根尖病巣があるだけの場合に比べて、治る可能性が低くなります。


■写真4



まず金属のかぶせ物を外しました。
中のメタルコア(土台)の辺縁は腐食しており、土台を外すと大きな虫歯もできていました。
歯冠側からの漏洩(細菌の侵入)もありそうでした。
メタルコアを外すと、中は黒い汚物で満たされており、少量の根充材が認められました。


■写真5


虫歯の部分をきれいに除去し、ラバーダムのクランプをかけるための隔壁を作製しました。
また隔壁を作ることで、治療中の仮封材が取れにくくなり、厚み(4ミリ以上)を確保することができます。
細菌の侵入をできる限り最小限にするために仮封材は重要です。


■写真6



根管内を探ってみると、根管がかなり細く、少し湾曲していました。
#15まで手用ファイルで拡大し、その後はバイオレイスというニッケル・チタンロータリーファイルで根管拡大・形成を行いました。


■写真7


症状も無くなったので、バイオセラミックシーラーを用いてシングルポイント法で根管充填しました。
しばらくは築造後、プロビジョナルレストレーション(精密な仮歯)を数ヶ月間装着し、症状が再発しないか、深い歯周ポケットは改善していくか、レントゲンも撮りながら経過観察していきます。

症例3

■写真1



左下6番の歯肉が時々腫れて、違和感があるとのことで来院されました。
頬側の遠心にフィステル(婁孔・ろうこう)が認められました。
プローブで歯周ポケットの深さを測定すると10ミリで(正常値は約2ミリ)、歯槽骨がかなり少なくなっていました。


■写真2



フィステルのところに#25のGPポイントを挿入してレントゲンを撮ったところ、遠心根の根尖に到達しました。
根尖病巣と歯周ポケットが交通し、「歯髄壊死」から「エンド・ペリオ病変(歯内・歯周複合病変)」になっていることが分かりました。


■写真3



セラミックスのかぶせ物を外して根管治療に入りました。
2回ほど根管治療を行い、フィステルもほとんど消失してきたので、3回目でバイオセラミックスシーラーを用いて根管充填しました。


■写真4



しばらくプロビジョナルレストレーション(精密な仮歯)で様子をみます。
4ヶ月経過後、レントゲンを撮影しました。
遠心部分の骨がだいぶ再生しているのが分かります。
10ミリ以上あった歯周ポケットも、深さ2ミリに改善していました。
良好に治癒していると判断し、最終の修復物を作製しました(セレックでe.maxのかぶせ物を作製)。


症例4

■写真1


左上の4番です。
「1年ほど前に他医院で虫歯を取って銀歯を入れた歯を診てほしい」とのことで来院されました。
1ヵ月前にかなり痛み、その医院で診察を受けましたが「様子を見て下さい」と言われたそうです。

現在自発痛はありませんが、根尖部の歯肉を押さえると少し痛むそうです。
頬側の歯肉にアブセス(膿瘍)が認められます。


■写真2


レントゲンを撮ると、根尖に病巣の黒い影があります。
また歯髄(神経)の近くまで治療してあったので、虫歯がかなり深かったものと思われます。
パルプテスターを使って歯髄(神経)の状態を調べるとMAX80でも反応せず、歯髄が壊死して根尖病巣ができ、そこから膿が歯肉表面に出てアブセスを作っているようです。


■写真3

まず麻酔をして銀歯を外します。当医院では、歯髄が壊死している場合でも、根管治療の際は必ず麻酔をさせていただいています。
銀歯を外すと虫歯がありました(う蝕検知液でピンク色に染まっている部分)。


■写真4


ラバーダムをかけて根管治療を開始しました。
マイクロスコープ下で根管の拡大・清掃を行います。

この写真は「単なる口腔内カメラの画像」で、マイクロスコープで見ている映像ではありません。
マイクロスコープではさらに肉眼では見えない根管内部まで確認が可能です。


■写真5


アブセスも消え、根管治療を2回で終了しました。
根管の拡大清掃を終了し、アブセスが消え、自覚症状が無くなれば、早め早めに根管充填して新たな細菌感染を予防します。

(今回の治療費)
小臼歯 根管治療 ¥60,000ー
(消費税別)


■写真6


3ヶ月後の定期健診時のレントゲンです。
アブセスやフィステルの再発もなく、根尖病巣も小さくなっています。


症例5

全てのケースを歯内療法(通常の根管治療)のみで解決できればそれに越したことはありませんが、現実的には歯内療法のみでは解決できないケースも多く、その場合「外科的歯内療法」を併用することになります。
私のような一般歯科医で行える外科的歯内療法には限界がありますので、より困難な症例は根管治療専門医の先生に診ていただくようにしています。

■写真1



右上6番の歯です。「3年程前に他医院で神経を取ったが、浮いた感じや時々腫れた感じがするので診て欲しい」とのことで来院されました。
レントゲンを見ると、近心頬側根に根尖病巣が認められました。


■写真2

example

金属のかぶせ物を除去し、まずは感染根管治療を行いました。
根尖病巣のある近心頬側根は、根尖が破壊されていて、アピカルストップが得られない状態でした。


■写真3

example
example
example

患者さんには根管治療に入る前に、「根管治療(歯内療法)だけではおそらく治らないだろうから、その時は外科処置を併用した方がいいと思われますが、どうされますか?」とお話ししていて、「ぜひお願いします。」と同意を得ていましたので、根管充填をした後、歯根端切除術を行いました。
近心頬側根の先端約3ミリをカットし、病巣を掻爬し、止血しながらMTAセメントで逆根管充填を行いました。


■写真4

example

手術後は歯肉退縮が起こりますので、しばらくはプロビジョナルレストレーション(ていねいに作った仮歯)を入れて数ヶ月待ちます。
症状も無くなったので、最終的なかぶせ物の作製に入りました。
根管治療後のかぶせ物は「根管治療の予後」を左右する大事な要因となります。
コロナルリーケージ(歯冠側からの漏洩、簡単に言うと、上から細菌が入らないように)を防ぐためにも、築造(土台)とかぶせ物は精密にしっかりと作る必要があります。


■写真5

example

本来は3~6ヶ月毎の予後評価を3~4年間くらいは行いますが、この患者さんは遠方に住まわれており、なかなか予後を見させていただけませんでした。
たまたま、他の歯の治療で当医院にお見えになった時の術後12ヶ月後のレントゲン写真です。
近心頬側根の根尖病巣もだいぶ影が薄くなっており、症状も無く予後は良好のようです。

症例6

■写真1


右下5番。中心結節が破折し、そこから細菌が侵入し、神経が壊死しています。
レントゲンで、根の周りに膿がたまっています(根の周りの黒い部分、骨が溶けています)。


■写真2

中心結節とは、歯の形態異常の一つで、咬み合わせの面にできる円錐状や棒状の突起です。
この中には神経が入っており、破折すると神経が露出し細菌が侵入します。


■写真3

ラバーダムを使用し、唾液などの流入を防ぎ、無菌的に根管治療を行います。


■写真4

根管治療中のレントゲンです。
根の先までしっかり清掃・拡大を行います。


■写真5

根の先まで緊密にお薬を入れて封鎖します(根の周りの黒かったところが、少し白くなってきています)。


■写真6

根の治療は中心部分の最小範囲で歯を削って行っています。
隣の歯にも虫歯があります。


■写真7

白い詰め物を充填して、治療終了です。


■写真8


治療から2年10ヶ月後。
根尖病巣は無くなり、予後は良好のようです。

症例7

■写真1


定期健診でレントゲンを撮ってたまたま見つかった病変です。
左下4番の根尖に黒い影が認められました。
遠心に少しカリエス(虫歯)はありますが、さほど大きなカリエスでもなく、外傷の既往もなく、咬合も問題なく、ヒビや破折もなく、中心結節(症例6参照)の破折跡もはっきりとは認められず、原因は分かりませんでした。
自覚症状も全く無く、歯牙の変色、フィステルなども現時点ではありませんので(後々、放置すると出てくる可能性はありますが)、レントゲンを撮らなければ分からなかった病変です。


■写真2

パルプテスターで、2日に分けてテストしたところ、いずれもMAX80でも反応が無く、歯髄(神経)は壊死していると判断しました。


■写真3

ラバーダムをかけて根管治療を開始しました。
下顎の第一小臼歯の約25%は2根管(神経が2本)あるので、マクロスコープで慎重に根管内を探索します。


■写真4



電気的根管長測定器でAPEXを求め、その長さから0.5ミリ~1.0ミリ引いた長さを作業長として根管の拡大・形成を行います。


■写真5


今回は手用ファイルに加えて、NiTiロータリーファイルも併用しました。
バイオレイスというニッケルチタンファイルをよく使用しています。特に弯曲根管では重宝しています。


■写真6

治療後痛みなども出なかったので、2回目の治療時にMTAシーラーを使って根管充填し、コンポジットレジンで修復して治療を終えました。

(今回の治療費)
小臼歯 根管治療 ¥60,000
(消費税別・CR修復別)


■写真7


▲治療前

▲治療5ヶ月後

術前と治療5ヶ月後のレントゲンです。 病変は縮小傾向にあります。

症例8

■写真1


御紹介で来院された患者さんです。
右上1番の根管治療を他医院で3ヶ月間ほど受けたが痛みと違和感が取れないとのことでした。
右上1番と2番に仮歯が入っています。
レントゲンを撮ってみると根尖孔が大きく、根尖病巣が認められます。


■写真2



仮歯を外すと綿栓に貼薬されたFC(ホルムクレゾール)の独特のにおいがしてきました。
ホルムクレゾールは気化して根尖孔から全身に移行することが知られ、微量でもアレルギー反応、化学物質過敏症、アナフィラキシーショックを引き起こすことがあり、使用には注意が必要だと言われています。
当医院では、水酸化カルシウムを貼薬剤として使っています。

根管内をマイクロスコープで確認したところ、ヒビが入ったりはしていませんでした。


■写真3



ラバーダムのクランプをかけるための隔壁を作製しました。
隔壁を作製することにより、水硬性の仮封材と仮歯で二重に仮封することができ、根管治療中の歯冠部からの感染を少なくすることができます。


■写真4





ファイルを入れて、根管長を測定します。
細いファイルから入れていくと、根尖にアピカルストップがなく、イニシャルバインディングファイル(IBF)は#70でした。
この症例のように根尖最狭窄部が破壊されると、予後不良となる確率が高くなります。

(根尖破壊が起きる原因)
・器具操作によるもの、作業長の設定ミス
・根管内の感染が長期的に存在し、根尖部にバイオフィルムが形成され、外部吸収が起きる
・矯正治療による根尖部の吸収など

まずは根管治療を通常通り行い、どうしても治らない場合は外科処置(歯根端切除手術など)を検討します。
またMTAセメントを用いたアピカルプラグを作る処置も効果的です。

1回目の治療で症状は無くなったので、2回目の治療時にMTAセメントで根管充填しました。

(今回の治療費)
前歯 根管治療 ¥45、000
(消費税別)

症例9

■写真1

3年ほど前に「右下の一番奥の銀歯を白くしたい」とのことで、金パラのインレーをセラミックスにやりかえる治療を行いました。


■写真2

銀歯を外してみると、中が虫歯になっていました。
う蝕検知液で染め出しながら、マイクロスコープ下で慎重に虫歯の部分を除去しました。

神経の露出(露髄)はギリギリ回避できたので、神経を温存することにしました。
2~3週間しばらく様子を見て、痛んだり、しみたりする症状もなかったので修復処置を行いました。

患者さんには「神経までギリギリの虫歯だったこと、できることなら神経は温存した方がいいこと、しかし将来痛んだりしたら神経の治療が必要になる」事を説明しました。


■写真3



3年後、治療した歯の歯肉が腫れて痛むとのことで来院されました。
歯肉が腫れて、膿がたまっていました。
レントゲンを撮ると根尖病巣が確認でき、歯髄診の結果「歯髄壊死」と診断いたしました。
患者さんも虫歯の治療をした時の説明を覚えていて下さり、スムーズに根管治療に入れました。

まずは麻酔をし、膿瘍を切開し排膿させました。ドレーンの留置はしませんでした。
同時に修復物を除去し、根管治療に入りました。

私はこのような場合、蓋(仮封)をせずに(根管を開放して)そのまま帰宅させることはほとんどしないようにしています。根管内をあまり汚染させたくないからです。
しかし担当医の先生の考え方や状態(膿が大量に根管内からどんどん出てくる時など)により治療方法は違ってくると思いますので御理解ください。
初日に根管長測定、拡大清掃、貼薬まで行いました。


■写真4

1週間後、歯肉の腫脹も消え、マイクロスコープ下で根管内(根尖)からの排膿もなくなったので、根管充填をしました。
今回は2回で根管治療を終わらせてよいものか少々悩みましたが(急性症状が強かったので、あと1、2回ほど貼薬した方がいいのかどうか)、今のところ問題なさそうです。
根尖病巣の変化は定期的にレントゲンで確認していきます。


■写真5


根管治療終了後、6ヶ月後の定期健診時のレントゲンです。 歯根の周囲の黒い影が薄くなり、新生骨が出来始めています。

症例10

■写真1


右上2番。歯肉がプクっと腫れている事を主訴に来院されました。
これはフィステル(婁孔・ろうこう)といって、膿が出てくる穴です。
咬むと痛みもありました。

レントゲンで右上2番の根尖部に、骨が溶けて膿がたまっている(根の先の黒いところ)ことが分かります。
隣の右上1番も根の治療が不十分で、根尖部に病変(黒い影)が確認できます。

どちらも根管治療が必要となりますが、レントゲンで右上2番には太く長い金属の土台(白く写っている芯棒)が入っているため、これを除去するのは困難であると判断しました。
無理して外そうとすると、歯質が薄くなって将来歯が折れたりする危険性が増すからです。

そのため治療方針として、右上1番は通法どおり金属の土台を除去し根管内部から根管治療を、右上2番は歯肉を切開して外科的に病巣を取り除く歯根端切除術(外科的歯内療法)を行うこととしました。


■写真2


まず右上1番の金属の土台を除去し、根管治療を開始しました。
2本とも被せ物の中に虫歯がありました。
虫歯をきれいに取って、右上1番の根管内をしっかり拡大、清掃、消毒を行います。


■写真3

右上1番の根管治療を終了しました。
MTAシーラーを使って根管充填したので、レントゲンでボソボソした感じに見えますが、緊密に根充しています。


■写真4


右上1番は根管治療終了後、できるだけ速やかにファイバーポストと呼ばれるグラスファイバーの土台を直接法で作製し、根管上部からの感染を防止します。

続いて、右上2番の歯根端切除術を行いました。
歯肉をレーザーで切開し、外科的に病巣を直接取り除きます。
感染した根尖部を約3mmカットし、根管内を逆方向から清掃、拡大します(レントゲンで少し根が短くカットされているのが分かります)。
その後MTAセメントにて逆根管充填(レントゲンで根尖部に白く写っているところ)しました。


■写真5

傷口を緊密に縫合して手術終了です。

手術は約60分程度で終わり、麻酔も普通の虫歯治療で使うものと同じです。
手術後、軽い痛みはありますが、痛み止めを飲めば大丈夫です。
翌日には、ほとんどの方が腫れも痛みもないと言われます。


■写真6

術後3週間、傷口は綺麗に閉じており、歯肉の腫れや咬合痛も消失しています(被せ物はまだ仮歯です)。


今回のケースでは、それぞれの歯の根尖病巣に対して、違うアプローチの仕方を行いました。
通常はまず、普通に根管治療を行って、それでも治らない場合に歯根端切除術を行います。
しかし太く長い金属の土台が入っている場合、無理に外すと歯が折れたり、残存歯質が被薄化したりすることで、将来抜歯のリスクが高まります。
その場合、金属の土台は無理に除去せず(通常の根管治療を行わず)、外科的にアプローチすることで治療していきます。

このように、その歯の状態によって治療法を変えることで治療の成功率を上げ、結果的に歯を長持ちさせることができます。
また当医院では歯根端切除術を行う際、メスではなくレーザーを多用しているため、出血も少なく傷口も比較的早く回復し、患者さんの疼痛や不快感を軽減することに役立っています。

さらに手術時にはマイクロスコープを必ず使用しており、肉眼やサージカルルーペのみの手術に比べてはるかに成功率が上がります(肉眼のみでの成功率は59%、マイクロ使用時は94%)。


■写真7

▲術前


▲1年後

治療後1年後のレントゲンです。
根尖病巣は小さくなり、新生骨が出来ています。

症例11

■写真1



左上6番に違和感があり、浮いた感じがするとのことで来院されました。
頬側の歯肉部分に、サイナストラクト(膿の出口)ができていました。
ここに、#25のGPポイントを挿入してレントゲンを撮ってみると、根尖病巣のところに到達しました(黄色の⇒)。
また全ての根尖部に黒い影(病巣)を認めました(赤い⇒)。
再根管治療の場合、治る確率が(再発も含めて)あまり高くないこと、根管治療(歯内療法)で改善しなければ外科的歯内療法という方法もあることなどを説明しました。
患者さんは「検討してみます。」と言われ、御帰宅されました。


■写真2





しばらくして「やはり治療して下さい。」とのことで来院されました。
まず金属のかぶせ物を外すと、メタルコア(金属の土台)が出てきました。歯肉縁には虫歯もできていました。
歯質をできるだけ保存しながら、メタルコアと虫歯の部分を除去していきます。
マイクロスコープ下でう蝕検知液を使いながら、丁寧に処置を行います。
マイクロスコープがあると、深いメタルコアやファイバーポストの除去がとても楽です。
ラバーダムのクランプをかけるためと、仮封材の厚みを確保するために隔壁を作製しました。
ちなみに下から2番目の写真で青い⇒がありますが、上顎の6番はこのあたりに4番目の根管(MB2)があり、肉眼で根管治療された歯では処置されていないことが多いので、マイクロスコープ下で、超音波を使ってしっかり見落とさないように探索します。


■写真3


根充材が割と簡単に除去できたので、その日のうちに根管長測定と拡大・清掃をある程度進めました。
3根管全てに根尖病巣ができています(赤い⇒)。
水酸化カルシウムを貼薬して、水硬性の仮封材(厚さ4ミリ以上)で封鎖して初日は終了しました。


■写真4


1週間後に来院された時には、サイナストラクトも自覚症状も消えていましたので、もう少し拡大・清掃して、バイオセラミックシーラーを用いて根管充填をしました。
この後は、ファイバーポストを口腔内で直接法で作製し、プロビジョナルレストレーション(精密な仮歯)を作って、3ヶ月程様子をみます。
3ヶ月後、レントゲンや症状の有無などの予後評価を行い、問題なければ最終的な修復物を作製していきます。

症例12

■写真1


右上の歯が痛むとのことで来院されました。
欠けている右上4番が痛むのかと思いましたが、「いいえ、その後ろの歯が痛みます。」と言われました。


■写真2


確かにレントゲンを撮ると、根尖に黒い透過像が認められ、自発痛(++)、打診痛(++)、根尖部圧痛(+)、冷温熱反応(-)、電気歯髄診(-)で、急性根尖性歯周炎と診断しました。


■写真3


麻酔をし、白いつめ物を外して隔壁を作製し根管治療に入りました。


■写真4



3回目の受診時には症状も消失していましたので、根管治療を終了しました。
その後すぐに修復処置に入り、根管上部からの感染(コロナルリーケージ)を防ぎます。


■写真5


数日後、「治療した隣りの欠けている歯は大丈夫ですか?レントゲンで根尖のところに黒い影がありますが。」とお聞きしたところ、やはり最近調子悪いとのことでした。
自発痛(+)、打診痛(+)、冷温熱反応(++)、電気歯髄診(+)で根管治療必要と診断いたしました。
根尖に透過像があっても、歯髄全体が壊死しているとは限らない(一部神経が生きている事がある)と先日の研修会でも教えていただきました。
なので必ず麻酔は必要です(ラバーダムをする時は麻酔した方が患者さんも楽だと思います)。


■写真6



つめ物を除去し、隔壁を作製し、根管長を測定しました。


■写真7


2回目の治療時には症状も消失していたので、根管充填しました。
その後すぐにコアを作り、修復処置を行いました。


■写真8


3ヶ月後の定期健診時のレントゲン写真。
2本とも根尖部の透過像は薄くなり、治療の予後は良好のようです。


症例13

■写真1


「歯肉がプクッとふくれている。」とのことで来院されました。
右下5番と6番の間に、サイナストラクト(婁孔 ろうこう)ができています。
原因は右下5番の歯で、根尖部に病巣が確認できます。


■写真2


根管治療に入りました。
フェルールは大事ですので、できるだけ歯質を保存するように気を付けながら銀歯のかぶせ物とメタルコアを外していきます。
メタルコアは少し細く削って、超音波スケーラーの振動をコアの上部に与えます。
しばらくすると、ユラユラしてきてポロッと外れます。
ちなみに両隣の金属の側面が傷だらけですので、研磨するか、やり直しの治療をした方が良さそうです。


■写真3



ラバーダムのクランプをかけるためと、仮封材の厚みを確保するために隔壁を作ります。
隔壁を作っている途中で、根充材がスルスルと取れてきました。


■写真4

これで下準備ができたので、マイクロスコープを用いながら根管内を探索していきます。
根尖部の破壊が起こっており、#100のファイルでようやくアピカルストップが得られました。
根管の拡大・清掃を行い、その日は水酸化カルシウムを貼薬して終わりました。


■写真5


2回目に来院された時には、サイナストラクトは消失していたので、根管充填をしました。
根尖の破壊が起こっていたので、MTAで根充するか、普通にGPポイントで根充するか迷いましたが、バイオセラミックシーラーを用いてGPポイントで根充しました。
根充が終わったら、そのままラバーダム防湿下でファイバーコアを作ります。
しばらくプロビジョナルレストレーション(精密な仮歯)で様子をみて(3ヵ月間ほど)、サイナストラクトが再発しなければ最終的なかぶせ物を作ります。
もしサイナストラクトが再発したり、病巣の改善が見られない場合は、外科的歯内療法を選択することになります。


症例14

■写真1

右上の1番がかなり痛むとのことで来院されました。
レントゲンを撮影してみると、根尖に透過像が認められます。


■写真2




隣りの左上1番の根尖にも透過像が認められました。

自発痛は右上1番だけでしたが、2本とも電気歯髄診で反応(-)、冷・温熱反応(-)、打診痛(++)で、2本とも根管治療を行うことになりました。
過去に虫歯が深かったことによる「歯髄壊死」が原因だと思われます(数年前に他医院で治療)。


■写真3

歯の裏側から開拡して根管治療を行いました。
前歯であってもラバーダムはかけた方がいいと思います(反省)。


■写真4

4年経過後のレントゲン写真です。
根尖病巣はほぼきれいに治り、新生骨ができています。
レジンで修復している範囲が広く、レジンの劣化・変色も出てきたので、セラミックスのかぶせ物を作っていくことになりました。

症例15

■写真1

50代男性、右上の歯がズキズキ痛むことを主訴に来院されました。
右上6番は、触れるだけで強い痛みを感じていました。
視診で明らかな虫歯は認められませんが、歯周病が進行しており、歯肉退縮による根面露出が起こっていました。


■写真2



痛んでいる神経を除去するために、根管治療に入りました。
器具を挿入してレントゲンを撮影したところ、根管は4つ見つかりました。
また、近心根には歯冠側(歯の頭の部分)から根尖側(根の先)にかけて広い範囲で骨吸収(黒いところ)をみとめました。

右上6番の歯周ポケット(歯と歯肉の境目の溝、歯周病の進行に伴い歯根膜と骨が破壊され深くなる)の値は近心が著しく深くなっており、根尖部に通じていました。
このことから、右上6番の痛みの原因は、歯周ポケット内から細菌が侵入し、根尖側方向から根管内の神経に感染し、上行性歯髄炎※を起こしているためと分かりました(イラスト参照)。

※上行性歯髄炎とは
歯髄の感染あるいは炎症が、根尖側方向から歯冠側方向へ上昇性に波及して生じた歯髄炎。
原因には歯周炎からの波及、隣在歯の根尖病巣からの波及、副鼻腔炎からの波及などがあります。


■写真3

神経除去後痛みもなくなり、根管内を拡大、清掃、消毒後、緊密にお薬(今回はMTAシーラーを使用)で封鎖しました。
この後、歯周病の治療に入ります。

今回の症例のように、虫歯以外の理由で神経を除去しなければならないケースは多々見受けられます。
歯冠側から歯髄炎になる場合にも、歯の破折やヒビからの感染や炎症、歯をぶつけた際の外傷、知覚過敏からの強い炎症、強い咬合力や歯ぎしり等による負担が原因のケースもあります。
そのため、それぞれの原因に応じて治療を加えていくことが大切です。

症例16

■写真1

下顎の第一小臼歯の根管治療終了、10年経過後のレントゲン写真です。

根管充填後のレントゲンとしては良く見えると思います。

下顎の第一小臼歯には2根管も多いのですが、根管の見落としもなく、2根管にきれいに根充できていますし、根尖病巣も消失し、何よりも患者さんの痛みや腫れの症状が消え、歯を保存できているのが何よりです。


■写真2


10年前の治療時のレントゲンです(10年前のレントゲン装置なので画質が粗いです)。かなり痛みがあり、腫れもある状態で来院されました。根尖に病巣が確認できます。

しかしこの当時の私の根管治療はたまたま偶然に成功しただけで、今考えると問題点が沢山あります。

たとえレントゲン写真で根管充填がきれいにできていても、その過程が不良であれば根管治療は失敗に終わります。

もちろん根管充填はきれいにできることに越したことはありませんが、根管充填のレントゲンがあまりきれいにできていなくても、根管充填までの無菌的処置及び歯冠修復が良好ならば根管治療が成功する確率は高くなります。


・隔壁を作ってラバーダムをかけるべき。

根管治療には無菌的な処置が必要です。その一つとしてラバーダムをかけることは根管治療を行う上で大切です。

当時私は1日に70人も患者さんを診ていました。3台、4台と患者さんを同時に掛け持ちし、根管を解放したまま患者さんにうがいをさせ、他の診療台に行き患者さんを待たせることも多々ありました。

患者さん1人の治療時間は5~15分程度でした(現在はしっかり時間をかけて治療しています)。

そんな事では細菌がどんどん根管内に入り込んでしまいあらたな感染を引き起こしてしまいます。


・根管充填材がレントゲン的に根尖にピタッと一致していると上手な根管充填のように見えますが、大抵このような場合、実際にはわずかに根管充填材は根尖から飛び出しています。

根管充填材はX線的根尖から0~2ミリ以内で根充されているものが最も成功率が高く、根管充填材といえども異物であり、いかなる異物も根尖からはみ出してはいけないと考えます。


・病巣の縮小が見られるまで、ダラダラと根管治療(貼薬)を行い、何ヶ月も根管治療を行っていました。

根管の拡大清掃が十分に行われ、患歯の症状が消失したならば速やかに根管充填を行い、あらたな感染を防ぐべきだと考えます。

ほとんどの根管治療は2~3回で終わります。それでも症状の改善が見られない場合は外科的な処置を考慮します。

根尖病巣の縮小が認められるのに数年を要することもあります。

他の歯科医院さんに行った時、「根尖に黒い影があるから根管治療しましょう」ではなく、もしその歯に近年以内に治療歴があり(3~4年以内とか)、特に自覚症状が無ければ定期的にレントゲンを撮り、様子を見てもいいかと思います。


・歯冠修復も重視すべき。

根管上部からの感染(コロナルリーケージ)を防ぐことは重要です。根管治療が終了したら治療を放置せず、速やかに歯冠修復に入らなければなりません。せっかくの根管治療が無駄になります。

また根管治療を行っても、歯質の剛性はほとんど低下することはありません(よく神経を取ったら歯が弱くなると言いますがそれは違うと思います。日本の根管治療の結果があまり良くなく、結果的に病巣ができたり抜歯になる確率が高くなるからそのように言われているのだと思います)。

辺縁隆線を喪失した歯に歯質をできるだけ残そうとして、部分的なつめ物を入れるより、咬頭を被覆したかぶせ物を入れた方が歯の剛性が高まり、歯が長持ちする(歯根破折などを起こしにくい)と実験で証明されています。

また根管治療中の仮封材やその厚みも重要で、隔壁を作り仮封材を安定させ治療中の感染を最小限にしなければなりません。


・困難な症例は根管治療専門医の先生に診ていただく。

この症例はたまたま上手くいきましたが、時々難しい症例に遭遇することもあります。
根管治療は歯科治療のなかでも難しい分野です。
そのような場合は私のような一般歯科医ではなく、根管治療専門医の先生の受診をお勧めしています。